沖縄県名護市為又で観光施設を運営する沖縄フルーツランドの安里博樹社長(47)は、米中枢同時テロ後の2002年、沖縄観光が打撃を受けたことをきっかけに、当時勤めていた銀行を辞めて家業の同社に入社した。

「先を見据えてまちづくりを進めたい」と話す沖縄フルーツランドの安里博樹社長=9日、名護市為又・リエッタ中山

 米軍基地が集中する沖縄への「風評被害」で、父親が社長を務めていた沖縄フルーツランドでも、相次いでキャンセルが出た。数カ月後、「また何かあった時に対応するためにも、家族一丸で会社を強くしていこう」と父から入社を打診されたが、銀行でもっと経験を積みたかったため一度は断った。だがその後、既に入社していた弟からも「助けてほしい」と連絡を受け、転職を決意した。

 「観光は(外的要因など)何かがあると止まってしまう」と気付き、企業体力をつける必要性を感じた。団体旅行から個人旅行にシフトする中、満足度を高めるため、絵本の世界を楽しめる体験型施設を創設。18年には地域と発展することを目指し、宿泊に特化したホテルを開業した。

 テロから20年。沖縄観光は順調に回復したが、昨年からのコロナ禍で観光客が激減。売り上げも大幅に減少する状況は当時とも重なる。だが、収束を見据えて「街づくり」を掲げて歩みを進める。ワーケーションなど、「普段の生活も観光の一部になってきている」と話す。

 同社のテーマパークの敷地内には、税理士事務所など地域企業が入居する。「観光は平和だからこそ成り立つ」とも語る。「観光客に限らず誰が来てもいい場所にしたい。ここで街づくりを進めたい」と展望を語った。

(北部報道部・當銘悠)