[福島 沖縄 国策と首長](2)浪江町前町長 馬場有さん(中)

 「東電の裏切りを許さない」と福島県浪江町(なみえまち)の前町長、馬場有(たもつ)さん(享年69)は言った。跡を継いだ現町長の吉田数博さん(75)は「当然のことだった」と振り返る。

 東京電力福島第1原発で最初の爆発が起きた2011年3月12日。東電は通報連絡協定に反して事故発生を浪江町に伝えなかった。町はテレビ報道や断片情報だけを頼りに全町民の避難を決める、極限状況に追い込まれた。

 沿岸部で地震や津波に遭い、救助を待つ人を置き去りにせざるを得なかった。そして無事だった人まで、放射性物質が大量に降り注いだ町内の山間部に導き、無用の被ばくをさせてしまった。馬場さんは最期までこの選択を悔やんだ。全ては情報がなかったためだった。

 町議会議長として行動を共にした吉田さんは...