安全だとする米軍の主張とかけ離れた驚くような数値が明らかになった。県民の命と健康は二の次なのか。

 米軍が有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)などを含む汚水を独自に処理し普天間飛行場から下水道に放出した問題で、宜野湾市が当日採取した下水の調査結果を公表した。

 検出されたPFOSとPFOA(ピーホア)の合計値は1リットル当たり670ナノグラムだった。国の暫定指針値・目標値(50ナノグラム)の13・4倍に上る数値にがくぜんとさせられた。

 市が採取した地点は、普天間飛行場全体の汚水が集まる場所だという。この日放出された汚水の処理が適切でなかったか、あるいはそれ以外の基地排水のPFOSなどが高濃度だった可能性が高い。

 汚水の放出は、日米間で処分方法を協議しているさなかに地元の反対を無視する形で強行された。日本側へ実施を連絡したのは排水のわずか30分前。身勝手な手法に県民は怒りと不信感を募らせた。

 米軍はPFOSとPFOAの合計値が2・7ナノグラムになるよう処理したと安全性を強調したが、一方的な主張にすぎない。

 謝罪もなく県の抗議も受け付けないなどあまりに横暴な態度である。汚水をどう処理し、どのように排出したのか。米軍は詳細を説明する責任がある。

 これまで飛行場周辺の河川などでPFOSやPFOAが高濃度で検出されているがその原因も明らかになっていない。県が求める立ち入り調査に応じるべきだ。

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 有機フッ素化合物は環境中でほとんど分解されないため「永遠の化学物質」とも呼ばれる。

 人や動物の体内に蓄積し、発がん性が指摘されている。下水道から海へと流れれば風評被害を招く懸念もある。

 市民団体は汚水の放出を「環境犯罪」と断じ、普天間飛行場内の汚水の全容を米軍に情報公開請求するよう宜野湾市上下水道局に要請した。下水の定期的な分析なども求めた。

 現状では、市は米軍の下水の実態を把握できていない。上水道のメーターに応じて下水道料金を課しているため、米軍が基地内にためていた汚水を一気に下水へ流したとしても市側は放出量を把握できないという。

 このままでは同じようなことが繰り返されかねない。指針値を決めた環境省には責任をもって定期的なモニタリング調査を実施してもらいたい。

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 今回の汚水の放出に、宜野湾市議会や県議会などが相次いで抗議決議を可決した。決議では米軍の責任で汚水を焼却処理することなどを求めている。当然の要求である。

 米海兵隊太平洋基地は、県内全ての海兵隊基地や施設で、PFOSやPFOAを高濃度で含む泡消火剤を全て代替品に交換したと発表した。

 代替品への切り替えは、かねて県なども求めてきた。ただ、どのような製品か、PFOSなどを全く含まないのかは明らかにされていない。米軍への疑念は残ったままだ。