「そろそろ行くね」  弁当箱を入れた袋を鞄(かばん)に詰め込んで航平(こうへい)が立ち上がった。椅子の背もたれに掛けていた上着を羽織って玄関に向かう航平に明香里(あかり)はついていく。 「航平、あのさ……」  明香里が言うと、靴ベラを持っていた手を止めて「ん?」と航平がこちらを見た。