[心つなぐ花咲かそ 玉城千春](3)

母校・読谷中学校の廊下に立つ玉城千春さん

 読谷中学校の生徒たちと作った新しい曲「命の樹」に〈絶対負けないで〉というフレーズがあります。それなのに、私は負けてしまいそうです。

 今月はコロナ禍の子どもたちの心や生活をテーマにコラムを書くことになりました。緊急事態宣言の中で、私は沖縄の子どもたちに歌や講話を届ける学校訪問が思うようにできません。混沌(こんとん)とした毎日で落ち着くことができず、ひらひら飛び続けているチョウのように安心して表現、発信できる言葉を探し続けています。〈絶対負けないで〉。そう歌詞に書いたのに。

 沖縄タイムスさんと一緒に取り組む学校訪問事業の発端は2019年、マレーシアのボルネオ島の体験です。現地の児童養護施設であった「未来へ」の曲についての意見交換で「僕は母のことを言葉にできない」と涙した少年。フィリピン不法滞在者が住む集落を訪問した時、一緒に遊ぼうと配っていた風船を、もっとよこせと言わんばかりに私を蹴った少年。正直、動揺しました。でも彼らの笑顔はたくましいし、美しかった。そして私が想像もつかないくらいたくさん傷つき、多くの不安の中、毎日を一生懸命生きているんだと感じました。

 私の住む沖縄の子どもたちはどうだろう。

 私にできることを、と導かれるように講話をしていきました。日本は学校や病院に通える、自由に夢を描き生活できる、学ぶ環境は平等に与えられていますが、さまざまな問題もあげられています。「好きなことを追求しようね」「まずは、ただそれだけでいいんだよ!」。そう伝えようとしても、長引くコロナ禍で届けたい思いが私の中で留まり続けています。

 みなさんは、諦めていませんか?

 おなかいっぱいになれば、人は優しくなれる。けんかや気まずいことがあっても、おいしいものを食べると笑顔になる。子どもたちのために活動する個人の方や企業の皆さんがいて、その話題を見聞きする度、胸が熱くなり、頭が下がります。私と同じように、たくさんの方々が感動しているはずです。

 みなさんの周りにいる子どもたちは、学校へ行くことが不安な日々を送っていませんか。訳も分からず涙していませんか。私たち大人は悩んでいること、苦しんでいることを相談できる行政や専門家を探すことができます。そこにたどり着かない方がいれば、どうかみなさんお声掛けしてください。そして子どもたちこそ、その術(すべ)が分かりません。だってこれから学ぶことだったりするから。

 だからこそ苦しい時は「苦しい」「助けて」と声を上げてほしい、ということ。いざとなれば環境も変えられること。いろんな専門家がいることを知ってほしいです。私も諦めない。

 私は、一人一人がそれぞれの幸せの種を持っていると信じています。皆さんの中の「樹」は元気に育っていますか?

 私たち自身も命の樹を育てながら、唯一無二の花を咲かせていきましょう。そして一緒に、子どもたちの種へ愛の言霊と栄養を注いでいきましょう。

 〈みんなみんな、最高で特別で大切な愛のキセキのかたまり〉だから。(Kiroroボーカル)

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 沖縄タイムス社のSDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」で、県内小中学校を巡って特別授業を行うKiroroボーカルの玉城千春さんが、身の回りの出来事を通してSDGsについて学びながら、社会を変える一歩をつづる。