本来、米軍が責任を持ち、米軍の負担で処理すべき事案である。だが、そうはならなかった。

 米軍普天間飛行場の格納庫の地下貯水槽に保管されている未処理の汚水について、防衛省は、日本側が引き取り処分する、と発表した。

 同省によると、貯水槽には約36万リットル(ドラム缶1800本分)の汚水が残っている。処分費用は約9200万円。日本側が負担し、処分を民間業者に委託する。

 なぜ、そうなったのか。

 米軍は8月26日、有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)を含む約6万4千リットルの汚水を独自の方法で浄化し、下水道に放出した。

 処理を巡って国と調整中であったにもかかわらず、国や地元の了解が得られないまま、見切り発車したのである。

 今回の対応を県は「一歩前進」と前向きに評価しているが、これで問題が解決したわけではない。

 どれだけの量を引き取ればいいのか、防衛省も正確な数量を把握していない。雨水などの影響で増えることも予想されるからだ。

 日本の税金を投入して米軍の汚水を処分するのは今度が初めてである。

 なぜ日本側が費用負担しなければならないのか。地位協定にも特別協定にも明文化されていない支出が、国会での議論もなく、なし崩しに広がっていくのは危険だ。

 雨水が貯水槽に流入しないよう、格納庫の補修に向けた協議も進めていくという。これも日本側が負担するのか。■    ■

 コロナ禍で沖縄経済が深刻な打撃を受け、苦しい生活を余儀なくされている住民が増えているというのに、次年度の沖縄関係予算の要求額は削られた。

 それなのに、米軍に対しては、この対応である。選挙前に沈静化を図った、との見方もあるだけに、納得のいく説明が必要だ。

 PFOSは、発がん性などの健康リスクが指摘されている有害物質で、国内では製造・使用が禁止されている。

 分解されにくく、蓄積されやすいことから、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。

 PFOS汚染問題は、普天間飛行場だけではない。嘉手納基地やキャンプ・ハンセンなど米軍基地に隣接する他地域でも高濃度のPFOSが検出されている。

 全県的な現状把握、それぞれの汚染源の特定、そのための基地立ち入り調査、規制基準の策定、処理方法の確立など、抜本的な対策は先送りされたままだ。

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 PFOSに対する住民の関心は極めて高いが、行政の対応は米軍の壁に阻まれ行き詰まってしまうことが多い。

 情報も対策も断片的で、なかなか不安が解消されない。

 こと環境問題に関しては、立ち入り調査の受け入れを義務化し、実効性のある調査の仕組みをつくること。防衛省、環境省、米軍、沖縄県の4者が環境問題について情報交換する常設の協議会を設けることを提案したい。

 来年の復帰50年を機に、その場しのぎではない抜本的な対策を打ち出すべきである。