大人に代わり病気や障がいのある家族の世話をする「ヤングケアラー」の重い負担と困難な状況が、徐々に知られるようになってきた。

 本紙連載「介護する子たち」に登場する母子家庭の16歳の少女は、病で働けない母親に代わってアルバイトで家計を支え、家事をこなす。さらに同居する祖母の介護も担う。高校進学は初めから考えられなかったという。

 重い神経痛を抱える母親と2人で暮らす高校3年の少年は、小学校に上がった頃から料理を始め、母親の昼食の下準備をして登校するのが常だった。頼まれて施す深夜のマッサージは日課の一つになった。 

 浮かぶのは子どもらしい生活を奪われ、小さな体に見合わない大きな責任に、もがき苦しんでいる様子だ。

 親の世話や家事に追われれば、勉強も宿題もままならない。それが進学など将来に影響を与えているのだとしたら、やるせない。 

 16歳の少女も、高3の少年も、今は支援団体や関係機関とつながっているが、相談に乗ってくれる人もなく孤立を深めていた時代もあった。

 ヤングケアラーが表面化しにくいのは、友達に知られたくないと口をつぐんだり、家族だから当たり前と自分の立場を自覚できていなかったりするからだ。助けを求めたくても、誰を頼ればいいのか、子どもが持っている情報は多くない。

 「子どもの貧困」と同じように、昔からある問題だが、見ようとしなければ見えない問題だ。

■    ■

 埼玉県など自治体で進むケアラー支援条例の制定、国の実態調査などをきっかけに、課題が共有され、対策が議論されるようになったのは前進といえる。

 国が2020年度に初めて実施した調査では、中学生の約17人に1人、高校生の約24人に1人がヤングケアラーに該当した。

 該当する中高生の6割超が「誰にも相談したことがない」と答えたのは、必要な支援が届いていないことを示すものだ。介護を家族の責任とする空気が、ケアを担う子を生み出していることも忘れてはならない。

 厚生労働省は来年度予算の概算要求に支援の事業費を盛り込んだ。22年度から3年間を集中取組期間とし、自治体調査の支援やヘルパー派遣事業を実施する。

 潜在化しがちなヤングケアラーを早い段階で見つけ、まずは適切な支援につなげる必要がある。

■    ■

 国が動きだしたとはいえ、この問題では住民に近い自治体の取り組みも重要となる。

 県内では糸満市が市内の小学校高学年と中学生を対象にした調査を近く実施する方針だ。他の自治体でも同様の動きが出始めている。

 ヤングケアラーの背景には貧困や一人親など介護の担い手がいないといった家庭の事情も隠れている。県内の実態はより深刻なのではないか。

 見えにくい問題を可視化するため、県も全県的な調査に乗り出すべきだ。調査を通じ問題への認識も高めたい。