2021年の県内地価は林地を除く全用途の平均変動率が前年比プラス1・5%と上昇したものの、上昇率は鈍化し、4年ぶりに全国首位から2位に後退した。

 商業地の伸びはプラス0・7%(前年6・2%)、住宅地はプラス1・6%(同4・0%)で、下落幅は全国で最も大きかった。主要産業の観光を中心に新型コロナウイルス禍の打撃が反映された。

 商業地では、特に土産品など観光関連の店舗、飲食店が集中する那覇市の国際通り周辺やモノレール首里駅付近で下落が見られ、観光客が激減した影響が鮮明になった。

 それでもプラスを維持できた要因について、専門家は金融機関などの緊急貸し付けや行政の助成金などの支援で持ちこたえているとみる。

 ただ、コロナ禍で不安定要素が多い中、支援の効果がどこまで続くかは不透明だ。不動産取引は常にリスクが伴うことになり、地価の動向に影響を及ぼす可能性がある。

 県によると、昨年4月からことし8月までの間、コロナの影響による県内事業者の廃業件数は421件。約半数が飲食業関係だった。繰り返される緊急事態宣言で、さらに増えることも予想される。

 住宅地の下落幅の拡大は、サービス業を中心に世帯収入が減少し、住宅購入の意欲が弱まったことなどが要因に挙がる。

 コロナ後を見据えた魅力ある観光地形成が求められる。人々の行動変容に合わせ個人に特化したサービスや質を重視した店舗づくりも必要だ。

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 地域別では明るい材料も見られる。

 商業地では宮古島市北谷町はプラス基調を維持している。宮古島市は観光へのダメージはあるものの、ホテルやゴルフ場建設など大型工事の需要などで「投資家の意欲は旺盛」(不動産鑑定士)という。眺望や住環境の良さから住宅地も上昇傾向にある。

 住宅地ではモノレール延伸で利便性が高まった西原町や北中城村など「値ごろ感」がある地域がけん引した。

 工業地は豊見城市が全国トップ、西原町が5位だった。使える土地が限られている上に、コロナ禍の「巣ごもり需要」に伴う電子商取引市場の拡大で、物流需要が増加している。不動産業者は、物流倉庫などへの投資を狙う動きがあるとみる。

 区画整理や再開発なども影響するが、地価の回復には、地域の特色を生かした街づくりが不可欠と言える。

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 ワクチン接種の進展で、徐々に人の流れが戻れば経済の回復に期待が持てる。流行が繰り返されれば停滞が長引くことも予想される。

 リモートワークが普及する中、本社機能を首都圏から移転させる企業も増えている。住宅やオフィス機能の移転の需要の取り込み、休暇先で仕事ができるワーケーションの環境整備も鍵となる。

 地価は地域の活力を示すバロメーターともいわれる。

 県や市町村には、ポストコロナ時代の土地利用戦略を打ち出してほしい。観光に依存し過ぎない産業構造の転換も求められる。