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クラウドファンディングで自身の半生を書籍化するプロジェクトを立ち上げた上江洲清さん

 幼少期に壮絶な南洋戦を体験し、沖縄で再び戦禍に巻き込まれた経験を持つ那覇市の上江洲清さん(82)が、インターネットで資金調達するクラウドファンディングで自身の半生の書籍化に挑んでいる。希望を求めたブラジルへの集団移民。厳しい暮らしから逃れるように移住したアルゼンチンでの生活。「映画のような人生」を1冊にまとめたのは「どんな境遇でも状況に適応し行動する大切さを知ってほしい」との思いからだ。

 上江洲さんは1939年に旧南洋群島(北マリアナ諸島)のテニアン島で生まれ、3歳のころポナペ島に移住した。平穏な生活が暗転したのは44年2月。戦争激化に伴い両親の故郷である沖縄に戻ろうと、母と弟の3人で乗り込んだ貨客船が米軍の爆撃を受けた。沈没寸前で救命ボートに救われ九死に一生を得たが翌45年、今度は沖縄で地上戦に巻き込まれた。

 58年には集団移民としてブラジルへ向かい、コーヒー農園での過酷な労働など苦難の日々を送った。さらに実父との確執を契機に66年、逃れるように単身アルゼンチンへ渡り、日本語新聞社などに勤務し5年ほど生活した。

32年間の過酷な半生を1冊の本に

 過酷な半生を「流転を続け生き延びてきた」と振り返る。「果てしなき流転」と名付けた自叙伝の原稿は、71年にブエノスアイレス港から移民船「ぶらじる丸」で日本向けに出港する場面までの32年間の物語だ。

 上江洲さんはその後2004年に日本へ戻り、戦争と移民の語り部として関西で10年ほど活動を続けた。14年、心臓の病気を患い、養生のためもあって那覇に移り住んだ。そこから書籍の執筆に取り掛かり、5年をかけて356ページの著作を書き上げた。「この1冊がコロナ禍でふさぎ込んだ方に少しでも勇気を与えられたらこの上ない喜び」と語る。

 プロジェクトの目標金額は本の印刷費や郵送費など170万円で、千部の発行を目指す。

 沖縄タイムス社が運営するクラウドファンディングサイト「Link-U(リンクユー)」で11月3日まで支援を受け付けている。支援サイトはこちらhttps://a-port.asahi.com/okinawatimes/projects/okinawa_uezukiyoshi/