新型コロナウイルス禍などで孤立する10代の母親たちを支えようと、社会福祉士や助産師、キャリアコンサルタントらでつくる一般社団法人ある(棚原喜美枝代表理事)のスタッフが奔走している。那覇市浦添市を拠点にした集いや訪問活動を実施。本年度は独立行政法人福祉医療機構(東京都、WAM)の助成を受け、専従職員を配置して支援メニューを拡充するなど、きめ細かな視点で若い母親と子どもたちの生活に寄り添っている。(学芸部・新垣綾子)

若い母親から預かった生後約1カ月の男児をあやす一般社団法人「ある」の棚原喜美枝代表理事(手前左)と安里千恵子理事(右)らスタッフ=16日、浦添市内

「10代ママくらぶ」で交流する母子と一般社団法人「ある」のスタッフたち=昨年12月、那覇市内(提供)

若い母親から預かった生後約1カ月の男児をあやす一般社団法人「ある」の棚原喜美枝代表理事(手前左)と安里千恵子理事(右)らスタッフ=16日、浦添市内 「10代ママくらぶ」で交流する母子と一般社団法人「ある」のスタッフたち=昨年12月、那覇市内(提供)

 9月中旬、「ある」が拠点の一つとする浦添市のコミュニティ広場Anne。間もなく生後1カ月になる男児が、スタッフの上原辰美さん(56)らの胸に抱かれ、ミルクを飲んでいた。スタッフがその日の昼頃、男児が住むアパートを訪ねると、若い母親が泣いていたという。なかなか寝付かない男児と2人きりで母親の情緒が不安定になっていると察したスタッフは、母親の意向を聞いて数時間、男児を預かることにした。

 代表理事の棚原さん(54)は「利用者には周りに子育てを支える親族がおらず、コロナ禍の外出自粛や家庭保育の要請でさらに追い詰められている母親が少なくない。訪問した時の母親の状況によっては、少しの時間でも私たちが赤ちゃんを預かり、彼女たちにリフレッシュしてもらうよう工夫している」と話す。

 「ある」は、25年近く性や命の教育などを続ける「私らしいお産を考える会」の活動を発展させる形で昨年12月に発足した。若年妊産婦支援は主要な取り組みの一つで、WAMの本年度社会福祉振興助成事業に選ばれ、700万円の助成を受けたことで体制を強化。専従1人とパート2人を含む8人のスタッフが、10代で妊娠・出産した県内の若年女性に向き合う。

 4月以降は16~23歳の妊産婦約20人が利用しているという。活動の柱は那覇市と浦添市の2カ所で、それぞれ月1回開く「10代ママくらぶ」だ。送迎サービス付きで同世代の母親たちの交流の場を設け、心身のケアや育児相談などを行う。

 新型コロナの影響で集いが難しい期間は個別の訪問に切り替え、弁当やおむつ、ミルクを届けながら見守りを継続。このほか事業メニューには、病院や役所への同行支援、妊娠初期の医療費補助や緊急避難者向けのシェルター運営などが含まれている。

 「ある」理事の安里千恵子さん(50)は「若いが故に、子育ての方法や制度の存在を知らないお母さんたちが多い。丁寧に信頼関係を築きながら、悩みや困り事を受け止め、行政の支援や制度につないでいきたい」と意欲を見せる。助産師の伊佐恵莉可さん(36)は「10代のママたちは体力があるし、吸収が早い。ほんのちょっとのサポートやこつを伝えるだけで力を付けていく」と実感を込めた。

 県内では今年に入り、民間団体などによる若年妊産婦支援が広がりを見せ、本島中部には別の法人が運営する宿泊型居場所が開設された。児童養護施設での勤務経験もある棚原さんは「年間約400件で推移している沖縄の10代の出産は、子どもが子どもを産む児童問題だと感じている。私たちの特徴は地域拠点型サポート。他の団体の皆さんと連携・協力しながら、若いママたちを支える手を増やしていきたい」と決意を語った。

 「ある」への問い合わせは、ホームページhttp://aru-okinawa.jp/