新型コロナ沖縄の今

次々襲う予測不能な体調不良「頭がおかしくなりそう」 コロナ後遺症 医師が心配する重篤なうつ病

2021年9月28日 11:16

[新型コロナ 沖縄の今]

女性が病院で受けた新型コロナ後遺症の診断書。「倦怠感が3~6カ月持続する可能性がある」と記載されている(写真を一部加工しています)

 昨年から沖縄県内で感染が拡大し、累計約5万人が感染した新型コロナウイルス。感染直後の発熱だけでなく、倦怠(けんたい)感や頭痛など長期間の後遺症に悩まされる人も多い。しかし、県内では行政による専門の相談窓口や後遺症に特化した外来はなく、感染を経験した人や医療関係者から改善を求める声が上がる。(社会部・銘苅一哲)

■予測不可能な体調の変化

 沖縄市の女性(40)は今年3月に新型コロナに感染しホテルで療養した。隔離期間の約2週間を終え自宅に戻り、1度は職場に出勤したものの、発熱や強い倦怠感が残って10日間ほど仕事を休んだ。病院を受診すると、コロナの後遺症との診断が出た。4月から5月末まで時短勤務を余儀なくされた。

 37度台の微妙な熱が続いた。平熱に戻ったと思った翌日にまた発熱。体調の変化が予想できない日々。時短勤務で収入が減った精神的な不安も重なり「頭がおかしくなりそうだった」。

 フルタイムで働くようになってからも後遺症は続いた。髪を洗うと驚くほどの毛が抜け、風呂場の排水溝に1カ月分ほどの量の髪の毛が1日でたまった。膝に痛みが出て、普段はしている正座もできなくなった。

 ようやく感染する前の、いつもの体調に戻ったのは、感染から半年たった9月。その間、県の新型コロナに関するコールセンターに体調不良を相談したが「後遺症の相談窓口ではない」と言われた。

 「感染防止も大切だけど後遺症のフォローもしてほしい。5万人近く感染したなら何万人もの人が悩んでいるはず」と後遺症に悩む人を支える制度を願った。

 後遺症が1年以上近く続くケースもある。南風原町の40代女性は昨年8月に感染したころから現在も嗅覚の異常が続く。「排ガスのような」臭いは鼻の奥に残り、ふとした瞬間に嫌な思いをする。「耳鼻科、神経科どちらの病院に行けばいいか分からない。相談できる場所や専門の病院があれば行ってみたい」と話した。

■半年後の倦怠感246人

 厚生労働省研究班が今年1~2月に新型コロナウイルスに感染した525人を対象にした調査では、半年後も倦怠(けんたい)感や疲労感などの後遺症を訴える人が半数の246人に上った。全国的な感染拡大を受け、県外では後遺症専門の外来を設置する動きが出始めている。

 厚労省の調査では感染から半年後も症状がある246人のうち、最多は倦怠感・疲労感(21%)。息苦しさ(13%)、睡眠障害(11%)、思考力・集中力(同)、脱毛(10%)、味覚障害(9%)、頭痛(同)と症状は多岐にわたる。

 神戸市で脳神経疾患を専門とする吉田病院は今月コロナの後遺症外来を設置。「身近に後遺症を診てくれる病院がない」と関東から足を運ぶ人もいるという。

 夏目重厚副院長は「1人の患者が複数の症状を訴えるため脳、耳鼻科、心療内科など各専門病院の医師が診たがらない」と後遺症外来の必要性を説明。症状が多い脳卒中患者などを専門とするノウハウを元にコロナ後遺症に対応している。

 同院が懸念するのはそれぞれの症状だけでなく、精神的な負担から来る重篤なうつ病だ。夏目医師は「相談する病院がなく体調不良が続き、真面目な人ほど仕事を頑張ってしまう。避けなければいけないのは、そこからうつになり、自死を選ぶこと」と指摘する。

 全国では行政主導で専門外来を設置する動きもあるが、沖縄では行政や医療現場が爆発的な感染の対応に追われ、後遺症の対応は万全とは言えない。夏目医師は「感染後の体調や精神的な状態をチェックするアンケートで状況を把握するだけでもいいので、取り組みが重要だ」と提言する。

●疑問・困りごと募集

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