沖縄県沖縄市(旧コザ市)が舞台の映画「ミラクルシティコザ」(監督、脚本・平一紘)が完成した。オキナワン・ロックをテーマに現代と1970年代のコザを取り巻く人間模様を描いた。出演する桐谷健太や沖縄出身俳優陣が熱演。「コザ愛」がスクリーンを通して伝わる作品に仕上がった。平監督、出演した津波竜斗に見どころを聞いた。(学芸部・天久仁)

映画の一場面。若き日のハルを桐谷健太が演じる(提供・ミラクルシティコザ)

映画「ミラクルシティコザ」の平一紘監督(右)と翔太役の津波竜斗=北谷町・ミハマセブンプレックス

映画の一場面。若き日のハルを桐谷健太が演じる(提供・ミラクルシティコザ) 映画「ミラクルシティコザ」の平一紘監督(右)と翔太役の津波竜斗=北谷町・ミハマセブンプレックス

■キーワードは「ロック」

 映画は「ロック」をキーワードに現代と過去の沖縄市「コザ」が交錯する「タイムスリップ・ロックンロール・エンターテインメント」。平監督が2019年にグランプリを受賞した「第3回未完成映画予告編大賞」(主催・オフィスクレッシェンド)の作品を基に脚本を練り上げた。

 映画は現代のコザに住む若者、翔太が亡くなった元ロックンローラーの祖父ハルに体を乗っ取られ、1970年代の沖縄にタイムスリップする騒動を描いたコメディー。

 撮影は3月末から4月中旬まで沖縄市を中心に行われ、ライブハウス「セブンスヘブンコザ」やゲート通りをはじめ、おなじみの場所が登場する。ロックバンド「紫」などの曲が全編に流れ、70年代当時を知るミュージシャンのジョージ紫らが時代考証などで協力した。

 長編映画は初となる平監督は沖縄市園田の出身。これまで映画のテーマになることが少なかった「ロック」と「コザ」に関連するエンターテインメントにこだわりながら「変えられることのない過去を大事にしながら、現在に伝えたいと思った」と話す。

■70年代きらびやかなコザ描く

 主人公の翔太は現在のコザで目標を持たず、怠惰な日々を送る。大好きだった祖父を亡くした失意の中、祖父の亡霊に体を乗っ取られ、70年代のコザにタイムスリップする。

 翔太役の津波は演撃戦隊ジャスプレッソに所属し、舞台やCMなどで活動中。「(自分にそっくりな部分もある)翔太をこっちに持ってきたという感じ」というほど今回の役に入れ込んだ。

 翔太の身を借りた70年代のハルを桐谷が演じた。現代と過去を行き来する役を演じた津波は「二重人格のようでした」と役どころの難しさを語る。その一方で演技を通して桐谷と親交を深めた様子で「(オーラが)にじみ出ているけど決して出さない。自分たちに目線を合わせてアドバイスしてくれた。プライベートでは一人の『男』として接してもらった」と語った。

 映画には「アメリカ世」やベトナム戦争当時の沖縄の世相という歴史上の事実も盛り込まれている。平監督は「若い世代にとって、過去は想像するしかない。過去のきらびやかなコザを描きながら、次はどうすればいいのか詰めていきたい」と話した。

 「ミラクルシティコザ」は来年1月21日にシネマQ、ライカムほかで先行上映される。全国公開は同2月4日。