沖縄県北谷町宮城の安里駿佑(しゅんすけ)さん(16)が自家用機の操縦免許を取るため、1日に単身で渡米する。ミニカーや戦隊フィギュアよりも、飛行機の模型で遊ぶのが好きな子どもだった。やがて自宅に空港のジオラマを作るようになり、クリスマスにはツリーから電飾を外して誘導灯に見立てた。沖縄カトリック高校2年の今も、プリントの裏に空港の図面を書く手が止まらない。「飛行機好きの極限は、やっぱり、パイロットになることです」と希望に胸を膨らませる。(中部報道部・平島夏実)

自家用機の操縦免許を取得後は、自身の経験を本にしてみたいと話す安里駿佑さん(提供)

【写真】安里さんが高校1年生の時に撮影した虹色の飛行機雲

自家用機の操縦免許を取得後は、自身の経験を本にしてみたいと話す安里駿佑さん(提供) 【写真】安里さんが高校1年生の時に撮影した虹色の飛行機雲

 免許が取得できるのは17歳以上。米国は、日本よりも短い日数で取れるという。11月12日生まれの駿佑さんは、17歳の誕生日当日に最終試験を受けられるように逆算して準備。渡米資金は手作りのチラシやクラウドファンディングで募ることにした。「パイロット?」と内心聞き流していた両親は、駿佑さんの行動力に負けたと肩をすくめる。

 駿佑さんが選んだのは、米国籍がなくても学べるフライトスクール。座学は沖縄で終わらせようと、パイロット養成を手掛けるFSO(北谷町、玉那覇尚也代表)を通じて6月から、現地の教官によるオンライン授業を受けてきた。

 授業も教科書も全て英語。専門用語が飛び交うが、駿佑さんは「飛行機のことをやってる分には何とかなってます。学校の英語の授業の方が、ネーティブの生徒がたくさんいて大変」とはにかむ。

 英語のヒアリングは、小学3年の時に買ってもらった航空無線機で鍛えた。管制官とパイロットの間でやりとりされる風向きや風速の情報、離着陸の許可。「早口の人も、なまりの強い人もいる。癖が出ます」と駿佑さんは言う。操縦免許が視野に入った今、自分ならどう応答しようかと想像しながら聞いているという。

 無線は、起きている間は一日中、家のどこにいても聞こえるボリューム。「英会話スクールに行くよりは安いから」と無線機を買い与えた母の真子(しんこ)さんは、いつの間にか慣らされた。「また何か飛行機が降りてくるみたいよ」と知らせると、駿佑さんは「どんな飛行機かを教えてほしいんだけどな。もう少し勉強して」と口をとがらせる。

 だが、初フライトで乗せたいのは「まずは家族」と駿佑さんは決めている。真子さんは「乗りたい乗りたい。怖いけど! 好きなことは、やったらいいよね」と笑った。