住まいのセーフティーネットを強化するために必要な対応だ。

 県営住宅の入居の際に連帯保証人を必要とする制度の廃止を県が検討している。県議会一般質問で玉城デニー知事が明らかにした。

 現在の制度では、保証人を確保できない低所得者や、家族らとの関係が途絶えてしまった人が入居を諦める状況がある。県司法書士会などが廃止を求めていた。

 公営住宅は、住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸することを目的に建設されている。その役割を十分に果たすためにも入居のハードルを可能な限り下げるべきだ。

 県の検討の動きは一歩前進であり歓迎したい。

 ただ、これから全国の自治体の先進事例を調査し廃止に向けた作業を進めるという。いつごろ廃止するのかめどを示し、迅速に対応すべきだ。

 一気に進まない背景には家賃滞納や未収金増加の懸念があるとみられる。滞納が生じた場合は理由を迅速に把握し、必要な福祉的支援につなげることもできる。保証人の廃止と課題の検証は別に進めてほしい。

 国は、身寄りのない高齢者の増加などを踏まえ保証人規定の削除を促し、全国では2割を超える自治体が対応を進めている。県内は後れをとっているものの久米島町や伊是名村など5町村が廃止した。

 那覇市では9月29日、同制度を廃止する条例改正案が市議会で可決された。来年4月1日の入居に必要な手続きから保証人が不要になる。

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 2018年度の県ひとり親世帯等実態調査報告書によると、現在の住まいが公営住宅と答えた母子世帯の割合は13・3%だった。

 それ以外の所に住む人に公営住宅への入居を希望しているかを問うと40・3%が「希望する」と答えた。ただ、このうち3分の1が応募した経験はなかった。

 保証人が見つけられず申し込みを諦めてしまった人も中にはいるのではないか。

 母子世帯は、働き手の母親が低収入の非正規雇用であることが多い。周囲の人々も同じような環境で保証人として頼れない場合がある。

 独り暮らしの高齢者らも経済状況が深刻な人が少なくない。家族や親族から孤立している人もいる。

 コロナ禍の現在、共働き世帯でも職を失うなどして急に困窮するケースがある。

 安心して暮らせる住まいは生活の基盤となる。その確保は貧困対策としても非常に重要だ。

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 一方で県営住宅の入居倍率が高止まりし、希望しても入居できない人が多い現実もある。

 ひとり親や障がい者、60歳以上、生活保護受給世帯など入居が優遇される世帯でも19年度までの5年間、入居倍率は約4~7倍の高さだった。

 新設よりも老朽化した既存団地の建て替えを優先していることや、長期間の入居が増えている事情があるという。

 その中で住まいの確保をどう支援していくか。議論を深めなければならない。