あからさまな「米軍ファースト」

 尖閣諸島の領有権問題をめぐる米国の立場は変わらない。「尖閣に対し日本が施政権を行使していることを認識しており、安保条約が適用される」。これは歴代政権の表現をそのまま踏襲しただけだ。

 3日に来日したマティス国防長官が言及した「尖閣の安保適用」で政府はほっと胸をなでおろし、「駐留軍経費の負担増は求めない」でウキウキ、「普天間移設は辺野古が唯一」でガッツボーズといったリアクションが目に浮かぶ。

 政府はすぐに名護市辺野古の埋め立て作業に着手した。あからさまな「米軍ファースト」。翁長雄志沖縄県知事は「甚だ遺憾。憤りでいっぱいだ」と政府を批判するが、政府の“沖縄攻め”はますます激しくなりそうだ。

 マティス長官が東京でリップサービスを振りまいていたころ、フリン大統領補佐官と楊潔篪国務委員との電話交渉では、「米中関係の力強い発展」「難しい問題は慎重かつ適切に管理」「共通の利益と協力の可能性」といった言葉が交わされたという。ニューヨークタイムスによると、電話はホワイトハウス側がアレンジした。

 トランプ政権も歴代政権と同じ対日、対中政策をとり始めたことが今回の動きではっきりした。中国に対しては「抑止」を効かせながら、日本には「諌止(かんし)」だ。尖閣諸島に野心など抱かないよう中国を牽制しつつ、日本には余計な動きは慎むよう諌める。同時に「関係強化」を日中双方に印象付けるのも従来通りだ。

 米側の対応をわかりやすく語ったのがオバマ前大統領だった。