東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設工事への機動隊派遣を巡り、名古屋高裁が派遣手続きの違法性を認める判決を言い渡した。

 愛知県の住民らが県警が警備のために機動隊を派遣したのは違法とし、県知事に対し隊員給与など約1億3千万円を当時の県警本部長に賠償させるよう求めた訴訟である。

 緑豊かな「やんばるの森」が混乱と緊張に包まれた5年前を思い出す。当時、高江には愛知のほか東京や大阪など6都府県から約500人の機動隊員が動員された。

 隊員らは生活道である県道を封鎖し、工事に反対する市民を次々と力で排除していった。現場を覆ったのは本土ではありえない「強権発動」の異様な光景である。 

 十分な説明もないまま、なりふり構わず工事を強行した政府の姿勢は異常というしかなかった。

 高裁では一審判決が変更され、約110万円の賠償を命じる住民側の「逆転勝訴」となった。東京などでも同様の訴訟が起きているが、請求が認められたのは初めてだ。

 裁判所は社会的に大きな反響を呼ぶ「異例または重要」な事案にもかかわらず、派遣が県公安委員会の承認を得ないまま、県警本部長の専決で処理された点を問題にした。

 その上で「公安委員会の実質的意思決定に基づいておらず、違法だと言わざるを得ない」と結論づけたのだ。

 一連の威圧的手法に対する「違法性」への言及を含め、判決を評価したい。

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 高裁は現場周辺での警察活動について「適法な範囲を超えた部分があったことを否定できない」と指摘した。

 警察官による検問や抗議活動の撮影、機動隊員による市民の排除、車両やテントの撤去などを挙げ、法的根拠に裏付けられた措置であったかどうか、疑問を呈したのだ。

 さらに違法の疑いを認識しながら沖縄県公安委員会が派遣要求したことには「重大な瑕疵(かし)がある」と言い切った。

 県外からの機動隊派遣は、沖縄側の援助要求に基づくものである。しかし500人もの機動隊動員が県公安委員会の主体的判断によるものだったとはとても思えない。

 ヘリパッド建設で政府は工事に使う重機を運ぶため自衛隊のヘリまで投入した。

 そもそも高江の集落を取り囲むように六つものヘリパッドを造る必要があったのか。ヘリパッドを新たに建設することが条件だった北部訓練場の過半返還を急ぐ当時の安倍晋三首相、菅義偉官房長官の意向が働いたことは想像に難くない。

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 普天間飛行場に保管されているPFOS(ピーホス)汚水を巡って、日本側が約9200万円を負担し処理することが発表されたばかりだ。肩代わりする明確な規定がないにもかかわらずである。

 法律の「拡大解釈」や「解釈変更」によって米軍に最大限の便宜を図る一方、住民の人権や生活権はないがしろにする。

 そんな「植民地的な状況」に対して司法が人権の砦(とりで)としての役割を守ったことは高く評価されるべきだろう。