無理心中を図ろうと昨年6月に沖縄本島南部の自宅で長年介護した夫=当時(76)=を殺害したとして、殺人罪に問われた女性被告(73)の控訴審判決が14日、福岡高裁那覇支部であった。谷口豊裁判長は懲役2年6月の一審那覇地裁判決の量刑判断が「合理性を欠く」として破棄し、懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。

福岡高裁那覇支部

 谷口裁判長は、同種事案の量刑傾向として一審が参照したデータは検索条件が「殺人、単独犯、心中または介護疲れ」だったため、「介護疲れ」とは関係のない心中の事案が多く含まれたと指摘。この条件では実刑が約70%となるが、「心中」を除くと約56%になるなどと説明した。

 被告が患っていた中等度のうつ病の影響を軽視した一審の判断は「不相当」だと指摘。支援が乏しい中、高齢の被告が約17年間ほぼ一人で介護し、夫は抵抗したことなどから「負担は肉体的にも精神的にも相当大きかった」とし「うつ状態に基づいた強い希死念慮が犯行に影響を及ぼした」と認定した。

 被告の弁護人を務めた釜井景介弁護士は「主張が認められて安心した。判決後の示談成立など新しい事情がない中で一審が見直されるのはハードルが高く、全国でも珍しい」と述べた。