「これを作ってくれたおじさんへ」-。沖縄県名護市の大西トンネルから名護高校へ向かう大西3丁目の歩道沿いにある屋根付きのベンチで雨宿りをした高校生が、感謝の気持ちを記した貼り紙が地域で話題になっている。文章は、こう続いている。「このベンチのおかげで雨にぬれなくて済みました!おじさんのおかげで風邪をひかなかったです。地域の人のために作ってくれてありがとうございました!感謝しています。高校生より」。名乗らず筆をしたためた心優しい高校生に、玉城学通信員はひょんなきっかけから出会えた。

「このベンチのおかげで風邪をひかなかったです」と感謝の気持ちが書かれた貼り紙=9月28日、仲村宗夫さん提供

ベンチに腰掛け、当時の様子を話す仲村宗夫さん(右)と説明に聞き入る大西区の村瀬善一郎区長=8日、名護市・大西3丁目大西トンネル通り

「このベンチのおかげで風邪をひかなかったです」と感謝の気持ちが書かれた貼り紙=9月28日、仲村宗夫さん提供 ベンチに腰掛け、当時の様子を話す仲村宗夫さん(右)と説明に聞き入る大西区の村瀬善一郎区長=8日、名護市・大西3丁目大西トンネル通り

■優しい心に感激

 屋根付きベンチを設置したのは大西区の仲村宗夫さん(65)。自身の子どもたちが通学していた頃、土砂降りの中、ずぶぬれになっている女子生徒を見たことがあり、雨よけにしてあげたいと考えた。5年前、自宅前に設置し、傷んでいたベンチは先月下旬に修繕した。

 貼り紙に気付いたのは、散歩中の近所の主婦。9月28日の早朝に見つけ、感激のあまり、すぐ仲村さんへ連絡した。

 仲村さんは「貼り紙を読んで涙があふれそうだった。今までにこのような美しい心は感じたことはない」と感激。大西区の村瀬善一郎区長へ報告した。村瀬区長も「地域にこれほど優しい心の持ち主の高校生がいるとは。大西の誇りだ」と絶賛した。

 仲村さんも村瀬区長も高校生の優しい気持ちを無駄にしないよう、ラミネートして貼り直すという。今でも高校生の名前は知らない。

■別件で偶然判明

 話はいったん終わったが、玉城通信員はこの日、別件で大兼久芸能保存会長の宮城伸さん(60)にウガン(御願)の話を聞いた後、貼り紙の件を何げなく話した。大西区に住む宮城さんから「うちの娘があの日、貼りに行った」と聞いて驚いた。

 娘は高校1年の南美桜(なみか)さん。話を聞くと、9月27日の下校中に雨が降り、屋根付きベンチまでたどり着いた。近くのおじさんに「雨宿りをしてもいいですか」と尋ねると「ここはあなたたちのために設置したんだよ」と話してくれたという。

 「車で迎えに来てくれた母に話すと、お礼のメッセージを書いたらいいかもと言われたので、夕方にさっそく母と一緒に感謝の文を貼りました」とはにかんだ。

 母の美智子さん(46)は「娘は野球部のマネジャーをしているので気配りと感謝は常に心掛けている」。伸さんは「不思議な話だね。ウガンが南美桜のことを知らせたのかな」と目を細めた。

(玉城学通信員)