沖縄県宮古島市上野野原の陸上自衛隊駐屯地の用地売却を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた前宮古島市長の下地敏彦被告(75)の公判が19日、那覇地裁(小野裕信裁判長)であり、被告人質問が行われた。下地被告は、受け取った現金600万円に陸自受け入れ表明の対価という認識はなかったと重ねて強調。土地が売れた感謝の気持ちとは受け止めたとしながら「政治資金として使ってと言われた」などと賄賂性を否定した。

被告人質問に臨む下地敏彦被告=19日、那覇地裁(イラスト・サイトウカナエ)

 下地被告は、陸自受け入れを求めた「千代田カントリークラブ(CC)」の元代表(65)=贈賄罪で有罪確定=が当時多大な債務を抱えており、土地売却が決まらなければ「破産して死んでしまう」と言われたと説明。「お礼」への言及も1度はあったが、受け入れ表明は「宮古島全体、国防全体を考え、政治信念に基づくもの」と繰り返した。

 配備地については「宮古島全体の振興発展、バランスを考えてやるべきという政治信念があった」としたが、決定権は防衛省にあると強調。計画の受け入れ判断や表明は市長の職務権限ではないとし、「防衛省からの意見照会に対して考えを述べた」などとした。

 表明後、元代表から感謝の言葉はなかったとしながら、現金を渡された2018年5月の面会を求められた時は「破産状態から解放され、気持ちを伝えたいのだろうと思った」と説明。現金を持ってくることもあり得ると考えたが、受け入れ表明の対価とは「全然思わなかった」と述べた。