区民の健康と区の繁栄、無病息災を祈願する7年に一度の「牛御願」と「牛回し」の神事が17日、沖縄県名護市の世冨慶区(比嘉秀樹区長)の拝所と公民館で行われた。関係者が同区の「奥の山」や「ニーヌファ」「ウマヌファ」など7カ所の拝所を朝早くから巡礼し、各拝所で手を合わせた。

公民館構内を7回歩いた「牛回し」の儀式=17日、名護市世冨慶

区の繁栄を祈願する比嘉秀樹区長(右から2人目)ら関係者=17日、名護市世冨慶

公民館構内を7回歩いた「牛回し」の儀式=17日、名護市世冨慶 区の繁栄を祈願する比嘉秀樹区長(右から2人目)ら関係者=17日、名護市世冨慶

 牛御願は、200年以上前に旅人が疫病になり、世冨慶に広まらないようにしたことが始まりだとされる。名護間切の祝女(ノロ)のお告げで牛を祭って厄払いの儀式を行い、ムラの7人の神人(カミンチュ)が牛と一緒にムラの周囲を回って清め、牛の肉を拝所に奉納したことが行事の由来だという。

 ウガンでは、公民館構内の拝所「奥の山」から手を合わせて各拝所を巡拝した。国道58号沿いの拝所では果物や餅などを供え、ウチカビを焼いて区の繁栄などを願った。公民館構内の拝所でも区民らが健康を祈願した。

 伊江島からトラックで運ばれて来た牛が公民館に着くと、区民から大きなどよめきが起きた。赤い鉢巻きを巻かれ、公民館の構内をゆっくりと歩く牛が自分の前に来ると、区民らは健康を祈願して手を合わせた。

 子ども6人、孫5人、ひ孫1人がいるという渡具知俊子さん(85)は「コロナで今日は私一人で来た。家族の分まで健康を祈願した。今年も牛を見ることができて幸せ。次は92歳になった時に牛を見たい」とうれしそうに話した。

 大北小4年の仲宗根心愛さん(9)は「世冨慶のいとこから牛が来ることを聞いて来た。算数の成績が上がりますようにとお願いした」と笑顔。行事に参加した最高齢の比嘉若重さん(89)は「かつての感染症は牛御願で収束した。200年たった今はコロナがはやっているが、それも牛御願でなくなると思う」と期待を込めた。(玉城学通信員)