緊急帝王切開手術をしたと偽り診療報酬約82万円をだまし取ったとして、沖縄県警に詐欺容疑で逮捕された産婦人科医院「あいレディースクリニック」の院長(52)が、出産前に妊婦と胎児の体調を定期診査する「妊婦健康診査」で、実際は診査していないにもかかわらず虚偽の受診票を作るようスタッフに指示し、市町村が負担する受診費用をだまし取った疑いがあることが22日、分かった。

あいレディースクリニック(資料写真)

 本紙の取材に応じた関係者8人全員が事実関係を認めた。全体の不正受給額は不明だが、関係者の一人は「院長の指示で、私一人だけで少なくとも年間50件は虚偽の受診票を作成した」と証言。院内で常態化していた可能性がある。

 院長は逮捕前、本紙の取材に顧問弁護士を通じ「受診券(票)は患者同意の上で使用している」と不正使用を否定した。

 受診票は14回分つづり。病院側が妊娠週数に応じた検査項目に沿って健診し、妊婦が住民登録している市町村に費用請求する。県地域保健課によると、受診料は検査項目で異なり、1回当たり5千~9820円。

 院関係者によると、架空請求は患者の転院が決まったときに多いという。「『これを処理して』と院長から急に指示が飛び、受診票3~4枚を一気に使う。健診日を『適当に書いて』とスタッフに虚偽の記載を強いることもあった」。

 「あまりに不正が多いときは虚偽の受診票をシュレッダーにかけることもあった」と打ち明ける。請求先の市町村から受診票の使用状況がおかしいと問い合わせもあったという。

 実態を知る元職員は「5年余り医療事務をやっていたが、不正は年々ひどくなっていった」と語った。