古代の人たちの暮らしぶりを解き明かす、貴重なピースとなるだろう。

 南城市のサキタリ洞遺跡で出土した貝製のビーズが、顔料で着色された装飾品としては国内最古となることが、県立博物館・美術館の調べで分かった。

 2013年に同遺跡から出土した、ニシキツノガイを加工した貝製ビーズは縦12・8ミリ、横7・9ミリ、重さ0・7グラム。中央の溝に鉄分を含む赤い顔料が付着していた。貝製ビーズが出土した周辺地層の年代分析から、旧石器時代の2万3千年前の着色とみられる。

 県内ではこれまで、縄文時代前期に当たる5500年前から顔料が使用されていたことが確認されているが、年代をはるかにさかのぼることになった。

 国内では3万5千年前以降に赤色顔料が利用されていたことが分かっているが具体的な利用方法は分からなかった。今回初めて、顔料の使用方法が判明することとなった。

 顔料や装飾品の利用はアフリカからユーラシア大陸、オーストラリアまで世界で広く共通する文化という。沖縄人のルーツ解明にも期待がかかる。

 田名真之館長は「現代人と同じように装飾品や顔料で身を飾る豊かな精神性と『余裕』を兼ね備えた人々だったと考えられる」と指摘した。

 日々食べる物の調達に精いっぱい、といったような古代人のイメージが覆される。

 装飾品は儀式に使ったのか、それともおしゃれのためか。新たな発見は時を超え、私たちをワクワクさせてくれる。

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 サキタリ洞遺跡は観光施設「ガンガラーの谷」内にある洞穴遺跡だ。県立博物館・美術館が2009年から、発掘調査を続けてきた。

 顔料の原材(2万3500年前)やクレヨンのような使われ方をしたとみられる顔料の塊(1万6千~1万3千年前)のほか、世界最古の貝製釣り針(2万3千~2万年前)、人骨(3万年前)など、考古学上、貴重な遺物が次々と見つかっている。

 遺跡周辺は琉球石灰岩の地層で、骨や貝を溶かす酸性と違い、炭酸カルシウムを豊富に含む、アルカリ性の土壌のため、遺物が良好な状態で保たれたとみられる。

 観光施設だが、開発によって洞窟が壊されるようなことがなく維持・保存され、貴重な史料が後世に残された。

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 同博物館・美術館はサキタリ洞遺跡での発掘調査を今後も続ける。

 近距離には、約1万8千年前の港川人が発見された港川フィッシャーがあり、関連も気になる。

 調査研究を広げ、古代の人たちの暮らしを解き明かす、さらなる発見に期待したい。

 国内最古の着色装飾品は同博物館で開催中の企画展「海とジュゴンと貝塚人」で実物を見ることができる。

 足元の「宝」に関心を持ちたい。

 歴史の生きた教材としても貴重だ。子どもたちの教育にも活用してほしい。