小笠原諸島の海底火山噴火で発生した軽石が沖縄近海に流れ込んでいる問題で、沖縄本島北部の漁港だけでなく南部のビーチや漁港などに漂着し影響が県内各地に拡大している。

 国頭村の辺土名漁港は16日ごろから軽石が流れ込み始めた。国頭漁協が一度は船揚場に打ち上げられた石の撤去作業をしたものの流入は止まらず、24日は護岸で囲われた漁港内一帯がセメントを流し込んだように海面が灰色に覆われた。

 定置網漁の漁師、平良新希さん(28)は「昨日より増えている。どうしようもない。ひどい」と驚いた様子で海面を見つめた。「これほどまで広がった軽石をどう除去するのか。網ですくうわけにもいかない」と困り果てた表情で話した。

漂着した軽石で覆われた辺土名漁港=24日、国頭村(小型無人機で下地広也撮影)

■海底火山から大量の軽石 漁に出られず

 小笠原諸島の海底火山噴火で発生した軽石を巡り、国頭村の辺土名漁港では大量の流入で1週間ほど漁に出られず、今帰仁村のビーチ沿いのホテルでは県内の学校の宿泊がキャンセルになるなど漁業や観光業に影響が出始めている。関係者からは「経験のない異例の状況。行政の対応も手探りのようだ」との声が上がり、困惑が広がっている。

 大量の軽石が海面を埋め尽くす国頭村辺土名はシイラ漁が盛んな時期。国頭漁協の村田佳久組合長によると今月15日に東海岸で海に浮く軽石が確認され、翌日ごろから西海岸の辺土名にも流れ込んできた。

 組合員が漁港に打ち上げられた軽石の除去にあたり、トラック20台分ほどを片付けたが別の石が流れ着く状況が続くという。

港内一面が漂着した軽石で覆われ、出港できなくなった漁船=24日、国頭村・辺土名漁港(下地広也撮影)
(2)小笠原諸島の海底火山から噴き出したとみられる軽石で覆われた辺土名漁港=24日、国頭村辺土名(小型無人機で下地広也撮影)

 「北風が吹くと軽石が漁港に入ってくるようだ。船を動かすとエンジントラブルになりかねず、漁にはほぼ出られていない」と困惑を隠さない。県漁連や沖縄総合事務局が視察に来たものの今後の見通しは立っておらず「どこも手探りの状況だ」と頭を悩ませる。

(1)小笠原諸島の海底火山から噴き出したとみられる軽石で覆われた辺土名漁港=24日、国頭村辺土名(小型無人機で下地広也撮影)

■リゾートホテルのビーチにも

 今帰仁村のウッパマビーチに続く海辺にある「リゾートホテル ベル・パライソ」も目の前の波打ち際が濁り、軽石が打ち上げられている。従業員の照屋翔也さん(34)は「宿泊客は海に面したロケーションを目的にしているので、がっかりしてしまう人も多い。県内の小学校などいくつかの学校の宿泊とマリン体験はキャンセルになった」と説明。新型コロナウイルスの緊急事態宣言がようやく解除されたばかり。突如発生したトラブルは、経営に再び打撃を与えている。

 軽石が流れ込む範囲は北部にとどまらない。糸満市の美々ビーチでは3日前から浜の複数の場所に軽石が打ち上げられ、従業員らが24日に拾い集めるとごみ袋4~5袋分が集まった。従業員は「水の濁りはそれほどないので、今は利用に影響はなさそう」と話した。

糸満の海岸に漂着した軽石。管理事務所が毎日取り除いて営業しているという=24日、糸満市の美々ビーチいとまん

 南部では糸満漁協や港川漁協(八重瀬町)の漁船のフィルターに軽石が詰まる被害があり、南城市の知念漁港でも流入が確認されている。

■海保の巡視船も航行できず

巡視艇しまぐものエンジン冷却装置の部品に吸い込まれた軽石=24日、沖縄市(中城海上保安部提供)

 23日午後6時20分ごろ、糸満市喜屋武岬の南約55キロ沖合で、中城海上保安部の巡視艇しまぐも(約100トン、乗員9人)が射撃訓練中に海中に漂う軽石をエンジンの冷却装置に吸い込み、航行不能になった。午後9時40分ごろ、付近で同訓練をしていた巡視船いしがき(約1千トン)がしまぐもをロープでつなぎ、えい航を開始。24日午後1時55分ごろ、中城新港に到着した。

 軽石は小笠原諸島の海底火山噴火の影響とみられる。乗員にけがはなかった。

 中城海保によると、従来は海水を取り込みエンジンを冷却しながら航行するが、軽石が詰まって取り込めなくなりオーバーヒートした可能性が高いという。