沖縄県内の広範囲に流れ着いた大量の軽石は、8月にあった小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で噴き上がったものとみられている。同火山は1986年にも噴火し沖縄に軽石が漂着したが、専門家は「今回は桁違いの量だ」と驚きを隠さない。今後さらに漂着する可能性も高く元の環境に戻るには1~2年かかるとの見方もあり、海生生物やサンゴへの影響を懸念する声も上がる。(社会部・銘苅一哲、玉城日向子)

■除去しても終わらない

海岸に打ち上げられた軽石=24日、国頭村    

 35年前に県内に漂着した軽石の調査をした琉球大学の加藤祐三名誉教授は、前回と今回見つかった軽石が灰色で黒い石を含んでいる共通点があることを踏まえ、福徳岡ノ場の噴火によるものと考えている。

 一方で、噴火から沖縄へ流れ着くまでの期間は前回の4カ月に比べ、今回は2カ月と早いスピードだった。加藤名誉教授は「35年前は黒潮反流という海流で運ばれた。今回は台風による風で強引な形で沖縄に吹き寄せられたと考えられる」と話す。

漂着イメージ

 前回は浜辺で探してようやく発見できるほどの量だったが、今回は漁港を埋め尽くすほど大量に流れ着いた。加藤名誉教授は「今来ている量が全てと思うのは誤り。現在も帯状に固まって漂流する軽石が沖縄に接近しているだろう」と指摘。漂着した分の軽石は1~2年経過すれば波にさらわれ再び海に漂流し、黒潮によって本土へ流れたり石がぶつかり合って割れることで浮力を失い海底に沈むとみている。

 すでに漁業や観光業にも影響が出ている。「どんどん流れてくるため、除去をしても終わらない。国内でも類を見ない出来事なので、行政も対応に苦労するはず。全体量が分からなければ対応策を決めるのは難しい」と話した。

■生態系への影響も懸念

 琉球大学理学部の立原一憲教授は海洋生物の生態系への影響について「予測しづらい」としつつも、数カ月から数年の長期にわたって軽石が滞留すると、「魚類の生息地や餌などに大きな影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。

 海では特に浅瀬で影響があるという。浅瀬でこすれて小さくなった軽石が海中に沈むと、魚類の生息地の環境が変化する恐れがある。さらに海水面に軽石が集まって海中に太陽光が届かなくなると、餌となる藻類の成長が妨げられることも考えられるとしている。

 サンゴを研究する琉球大学熱帯生物圏研究センターの山城秀之教授は「サンゴが生息するような沖の海面が覆われれば影響があるかもしれないが、重さが軽いため滞留するのは岸に近い場所のようだ」とみている。同時に、「潮が引く際に海面が低くなりサンゴが軽石とぶつかり傷がつく可能性はある」として調査に着手する考えを示した。