沖縄県読谷村牧原自治会の関係者らは旧暦9月9日に当たる14日、嘉手納弾薬庫内にある旧牧原地域のチチェーン御嶽を訪れ、例祭を執り行いフェンス越しに手を合わせた。自治会はフェンスを御嶽の後ろ側に移動するよう、関係機関に要請している。今年もフェンス越しに祈らざるを得なかった住民たち。與古田松吉自治会長は「来年こそは御嶽の前で手を合わせたい」とフェンスの奥を見つめた。(中部報道部・宮里美紀)

フェンスの向こうのチチェーン御嶽に向かって手を合わせる牧原自治会関係者ら=14日、読谷村牧原

チチェーン御嶽(右奥)に向かって手を合わせる女性

フェンスの向こうのチチェーン御嶽に向かって手を合わせる牧原自治会関係者ら=14日、読谷村牧原 チチェーン御嶽(右奥)に向かって手を合わせる女性

 旧牧原集落は戦後、嘉手納弾薬庫に土地を接収された。與古田会長によるとかつてはフェンス内に自由に出入りでき、御嶽の前でエイサーの奉納もできたが、2001年の米同時多発テロ発生後はフェンス内に入れなくなった。

 自治会は20年、村や沖縄防衛局を訪ね、フェンスを御嶽の後ろ側にするよう要請したが、実現していない。

 今年の例祭には牧原関係者数人のほか、返還跡地にあるゴルフ場「クイーンズトラップ」の盛吉弘支配人らも参加した。ゴルフ場内には同じく例祭でも回る「御井(ウカー)」があり、同社は「地域への感謝の気持ちとして」と清掃を始めたところ、今年から例祭にも参加することになった。

 例祭ではフェンスの民間地側、幅約2メートルほどのスペースに果物や餅などを供え、数十メートル先の御嶽に向かって地域の繁栄や無病息災を祈った。

 盛吉支配人は「ずっと牧原の拝所のことは気になっていた。遅ればせながら、今後も地域行事に参加していきたい」と話した。

 青年会OBの町田宗昭さん(59)は「以前はエイサーも奉納したが、今はできない」と残念そう。與古田会長は「本当はもっと近くで拝みたいね。来年に期待だ」と語った。