[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1265)

 沖縄タイムス読者の皆さん、こんにちは。睡眠専門医の普天間国博です。睡眠専門外来で診療をしていると「朝起きられない」と相談を受けることがあります。朝、起きるのがつらい状態を「起床困難」といいます。

 朝起きる工夫の一つが体温を上げることです。人間は深部体温が下がると眠くなり、上がれば覚醒しやすくなります。そのため冬は寒いと布団から出られなくなりますが、暖房などで部屋の室温を上げておくと起床しやすくなります。起床しても眠気やだるさが残る場合は朝風呂も効果的でしょう。テレビやラジオのタイマー機能も利用すれば気になるニュースで目が覚めることもあります。寝る前にあらかじめ決めた時刻に起きるように意識して眠ることを「自己覚醒」といいますが、これが起床困難を軽減すると報告した論文もあります。

 睡眠不足で朝起きられない場合は睡眠時間の延長が必要ですが、「必要な睡眠時間」は個人差が大きく人それぞれです。米国の研究機関が公開した望ましい睡眠時間の目安は学童では10~11時間、中高生では8~9時間、成人では7~9時間とされています。これはあくまでも目安の一つですが、一般に代謝の活発な若い人や活動量の多い人ほど必要な睡眠時間は長くなります。

 一方、昼夜逆転や夜型生活が続いて睡眠リズムが後退することで朝、起きられなくなることもあります。人間の細胞や臓器には体内時計を刻む約25時間周期のリズムが存在しています。このリズムは光刺激を含めた外的要因で太陽の周期と同じ24時間に調整されます。不規則な生活でこの調整が乱れて睡眠リズムが後退すると、入眠困難と起床困難が生じます。

 それを改善するには光の浴び方と活動のリズムを太陽の周期に合わせることが重要です。日の出とともに起床し朝の光を浴びることで、数週間かけて徐々に睡眠リズムが改善していきます。ただし週末の夜更かしや深夜の光刺激は逆に、睡眠リズムを後退させるため規則正しい生活を続けることが重要です。(普天間国博 琉球大学病院精神科神経科=西原町)=第2、4木曜日掲載