沖縄県内海域に軽石が大量漂着し一部の漁業者の出漁自粛が続く中、県漁業協同組合連合会(県漁連)が運営する競りで、魚の取引価格が高騰している。10月の平均取引価格(1キロ当たり)は前月比1・25倍の802円に上る。スーパーや飲食店で価格転嫁の動きはまだないが、小規模鮮魚店では仕入れ価格高騰のために休業する動きもある。軽石の漂流がいつまで続くか不透明な上、11月からは時短営業要請が解除されることで、飲食店からの引き合いは強まり、価格の上昇は続くとみられる。(政経部・又吉朝香)

軽石漂流で出漁自粛が続き、県漁業協同組合連合会が運営する競り市場で水揚げ量が減少している=28日、那覇市・泊魚市場

軽石漂流で出漁自粛が続き、県漁業協同組合連合会が運営する競り市場で水揚げ量が減少している=28日、那覇市・泊魚市場

 県漁連によると、新型コロナの感染拡大で飲食店からの引き合いが弱く4~9月の平均取引価格は400~700円台で推移していた。緊急事態宣言解除で10月に入ってから飲食店からの需要が回復し、価格は上昇傾向にあった。加えて、軽石の漂着による出漁自粛で水揚げ量が減ったため、1日平均1千円に上る日もあり、新型コロナ流行前の水準を上回った。

 特にマチ類(アカマチやマーマチ)やマグロ類(メバチ、キハダなど)が高騰しているという。

 市場課の西銘良章課長代理は「軽石の影響で出漁を控える船が多く、先々週よりも2~3割ほど水揚げ量が少ない。マチは競りが始まる直前まで十分な量が集まらずに焦った」と話した。

 那覇市の仲買人は「価格は高いが取引先のために購入した。うまく価格を交渉できればいいが、できなければ赤字だ」と不安がる。

 本島中部のある鮮魚店は仕入れ価格が高騰したため、10日間ほど休業した。28日から営業を再開したが、販売価格を据え置き、量を減らすなどの対応をしている。担当者は「今後も軽石の影響は続くだろう。仕入れ状況次第で、営業できない日も出てくるかもしれない」と嘆いた。

 サンエーは28日現在、生鮮商品の販売価格に変更はないが、現状が続くようであれば、価格の見直しを検討せざるを得ないという。

 県内で居酒屋12店舗を展開するちぬまんグループの担当者は「水揚げ量が少なくなっていて、来週からかなり高騰するという話も聞く。コロナで客は戻っていない。価格転嫁もできず、経営は逼迫(ひっぱく)している」と話した。