いよいよあす31日は衆院選の投票日だ。有権者の関心は約4年ぶりとなる政権選択選挙に集まっているが、同時に実施される国民審査のことも忘れてはならない。「憲法の番人」にふさわしいかどうかをチェックする「もう一つの投票」でも積極的に意思を示したい。

 最高裁の裁判官は長官1人と判事14人の計15人。憲法に基づき、裁判官任命後最初の衆院選で審査を受け、その後10年を経た衆院選時に再審査される。今回は15人のうち、過去2番目に多い11人が対象となっている。

 投票所に行くと、審査を受ける裁判官の氏名が並んだ投票用紙が配られる。辞めさせたい裁判官の名前の上に「×」印を記入し、「×」が有効投票の過半数となれば罷免される仕組みである。

 とはいえ、ふさわしいかどうかを判断するのは簡単ではない。その裁判官がどんな考えを持ち、どんな判決を下してきたのかを知らなければならないからだ。

 手掛かりになるのは投票日2日前までに各世帯に届く「審査公報」である。略歴や関与した主な裁判のほか、裁判官としての心構えなどが記されている。本紙も有権者の関心が高い夫婦別姓訴訟や沖縄関連訴訟で、どのような判断を下したのかまとめた記事を掲載している。

 最高裁の裁判官は法律が憲法に違反していないかどうかを最終的にチェックする強力な権限を持つ。その決定は私たちの社会や生活に大きな影響を与える。じっくり考えて票を投じたい。

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 前回の衆院選から約4年。この間、最高裁は夫婦別姓や国政選挙の「1票の格差」を巡る訴訟で憲法判断を示してきた。

 夫婦別姓を認めない法の規定に関して最高裁大法廷はことし6月、「合憲」と判断した。ただし今回対象となる裁判官7人のうち3人は「違憲」を主張した。

 沖縄に関わる重要な訴訟もいくつかあった。

 名護市辺野古の新基地建設で埋め立て海域のサンゴを巡り、農相が移植を許可するよう指示したのは国の違法な関与だと県が訴えた裁判は、7月に県敗訴が確定した。対象者のうち3人がこの裁判に関わり、うち1人が結論に反対意見を述べている。

 1996年、代理署名訴訟で大田昌秀知事が敗訴した直後の国民審査では、県内の罷免投票者率が3割を超えたことがある。全国平均は約9%だった。

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 注意しなければならないのは信任の意味で「○」を記入すると無効になるということだ。逆に何も書かなければ「信任」とみなされる。

 49年から計24回、述べ179人に実施された審査で、「×」が過半数となり罷免されたケースは一件もない。

 形骸化が言われて久しいが、無効票を減らすため、「○×」方式にするなど方法を改めてもいいのではないか。加えて最高裁にはもっと分かりやすい形で裁判官に対する情報を発信してもらいたい。

 有権者の立場に立った制度改革が必要だ。