多くの関係者や報道陣が見守る中、沖縄県国頭村の辺土名漁港で29日、軽石の除去作業が始まった。「取りあえず一安心」と安堵(あんど)の表情を浮かべる漁協関係者もいる一方で「本当に予定通りに進むのか」と作業の先行きを不安視する声も漏れた。久高島や本部町の水納島では本島と結ぶ定期便が欠航。関係者は前代未聞の問題に試行錯誤しながら、早期解決を待ち望んだ。

セメントで覆われたような港内をぼうぜんと見渡す漁師=29日午後、国頭村・辺土名漁港(下地広也撮影)

 「県が迅速に対応してくれたのはありがたい。一日も早く船が出せる状況に戻ってほしい」。国頭漁協の村田佳久組合長は、ほっとした様子を見せた。

 29日は格子状のバケットを付けたショベルカーが海面の軽石をすくい上げた。自身の船の中に入った軽石を片付けていた大田照禄さん(68)は、「自然災害だから仕方ないが、こんなに大量の軽石が本当になくなるのか」とため息をついた。

 午後、作業の進捗を見に来た別の組合員は「バケットでは、エンジントラブルの原因となる細かな粒子をすくえない。そこまで除去できないと、船は出せない」と訴える。作業に当たる県や施工業者も初めてのことに試行錯誤。県の担当者は「できることを進めつつ、効果的な方法を探っている」と明かす。

 恩納村漁協職員の瑞慶山正さんは、モズク養殖で使うポンプを運び込み、岸壁から軽石を吸い上げた。「使えるかもしれないと思って。協力して少しでも早く撤去したい」と話した。

 本島との定期便が全便欠航した久高島。漁業を営む西銘忠さん(61)は「移動の手段がないのは困るが、台風で島が閉ざされることも多く、島内は落ち着いている。現在、何かあれば漁港から発着できる。島民で協力し合って対応したい」。外間長裕区長(71)は「物資面などで差し迫って困ったことはないが、早急に除去してほしい」と求めた。

 本部町では29日、町渡久地港と水納島を結ぶ定期船便3往復のうち1往復が欠航した。水納海運によると、28日に海水を取り込みエンジンを冷やすと出てくる水の量が少なかったため、航行後に確認したところエンジン後部の減速機(マリンギア)に軽石が入り込んでいた。

 29日は1往復目は減速して運航し、2往復目を欠航して軽石を除去、3往復目は通常通り運航した。同海運の担当者は「今後も通常運航の予定だが、状況次第で欠航の可能性もある」と話した。

【動画あり】「こんな工事は初めて」軽石の撤去作業始まる 沖縄・辺土名