防衛省が沖縄県与那国町の陸上自衛隊与那国駐屯地へ追加配備を検討する「電子戦部隊」などについて、隊員数70人規模を想定していることが7日、分かった。また、2022年度には航空自衛隊の移動警戒隊が宮古島分遣班として20人配置される計画で、同町に常駐する陸空の自衛隊員は、現在の約160人から90人増の250人規模と、町人口約1700人の約15%を占め、家族などを含めればさらにその割合は高まることになる。(社会部・砂川孫優、東京報道部・嘉良謙太朗)

陸上自衛隊与那国駐屯地=2019年6月18日、与那国町(小型無人機で撮影)

■自衛隊員が倍増 島人口の15%に

 与那国への電子戦部隊などの配備は、台湾海峡や尖閣周辺の情勢緊迫化をにらみ、情報収集能力を強化する狙いがある。電子戦部隊は50~60人規模で、合わせて新たに陸自の施設科隊員10人を配置する方向で調整を進めている。23年度までの配備を目指す。

 防衛省は22年度の概算要求で、与那国の電子戦部隊配備に向けて隊庁舎や宿舎などの施設整備費として約31億円を計上。町関係者によると、町祖納に新たな宿舎用地を計画している。

 ネットワーク電子戦システム(NEWS)を装備した電子戦部隊は、電波の収集・分析や敵の通信を妨害する車載型ネットワーク電子戦システムを備える。中国やロシアが電子戦分野の能力を向上させる中、宇宙・サイバーに並ぶ電磁波という新領域への対応を強化することで南西地域の防衛態勢を高める。

 また防衛省関係者によると、空自の移動警戒隊は16年3月の与那国駐屯地の発足当初から不定期で隊員を配置していたが、常駐に切り替える。同隊は空自の三次元レーダー装置「TPS-102」を運用して情報収集の任務を行っている。情報は那覇で集約しているという。

■「島が要塞化する」「経済効果に期待」と住民

 与那国駐屯地の陸自沿岸監視隊には、現在約160人の自衛隊員が配置されている。

 地元住民の間には、自衛隊の増強に理解を示す一方、島の「要塞(ようさい)化」を懸念する声もある。

 こうした懸念に対し、町幹部は「追加配備には協力する姿勢」とした上で「自衛隊が増えれば人口はさらに増える。町の経済効果が期待できる」と話した。

[ことば]

 電子戦 電波など電磁波を利用した戦い。(1)相手の通信機器やレーダーに強力な電波を発射して能力を妨害する電子攻撃(2)周波数変更や出力増加により相手の電子攻撃を無効化する電子防護(3)相手の電磁波に関する情報を収集する電子戦支援-がある。

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