名乗らない方、ありがとう-。琉球芸能を学ぶ沖縄県立南風原高校の生徒たちへ12日、子ども時代に琉球舞踊を習っていた女性から年代物とみられる舞台用の琉装2着が贈られた。受け取った同校教諭によると女性は生徒と対面せず「皆さんの前で名乗るほどの者ではないから」と激励の手紙と衣装を手渡して足早に去ったという。生徒らは「大事に受け継いでいきたい」と喜びをかみしめている。(南部報道部・松田興平)

贈られた衣装に身を包む南風原高校郷土芸能部の中里芽生部長(前列左から4人目)と當間杏珠副部長(同5人目)を中央に笑顔を見せる部員たち=16日、南風原町・同校

中国からの冊封使をもてなす踊りと獅子舞を組み合わせた「歓待の舞」を披露する南風原高校の生徒たち=8月5日、和歌山市和歌山ビッグホエール

贈られた衣装に身を包む南風原高校郷土芸能部の中里芽生部長(前列左から4人目)と當間杏珠副部長(同5人目)を中央に笑顔を見せる部員たち=16日、南風原町・同校 中国からの冊封使をもてなす踊りと獅子舞を組み合わせた「歓待の舞」を披露する南風原高校の生徒たち=8月5日、和歌山市和歌山ビッグホエール

 同校には伝統芸能などを学ぶ郷土文化コースと、さらに部活動として郷土芸能部がある。生徒たちは授業、放課後ともに研さんを積む。今年の全国高校総合文化祭で最上位の最優秀賞に輝いた。

 手紙では同校生徒たちが全国で花開いたことを伝えるテレビ放映を見て涙を流したとつづられていた。

 また自身が今年3月まで小学校教諭だったこと、子どもの頃に琉舞を習っていたことにも言及。高校生の頃のアメリカ留学時に琉舞がコミュニケーションの助けになった経験談とともに「芸は身を助ける」と助言も。

 「着物は少しばかりですが部活の中で活用してもらえればと思い、学校を訪問しました」などと記されていた。

 琉装2着はいずれも男踊り用の衣装。1着は朱色を基調色とし、金色の鶴などが刺しゅうされたきらびやかな模様。もう一方は黒で、りりしい印象を抱かせる。

 郷土芸能部部長の中里芽生(めい)さん(18)=3年=は「何十年も前の衣装だと考えると伝統を継ぐという大切さを感じる」と表情を引き締めた。

 副部長の當間杏珠(あんじゅ)さん(18)=同=も「贈ってくれた女性の思いと一緒に衣装を大切に受け継ぎたい。いつか南風原高の舞台を見に来てほしい。演舞でお礼がしたい」と笑顔で語った。

 衣装を受け取ったのは同部を指導する同校の山城園代教諭。「年代物だけれど大切に保管されていたことが分かる。女性のお名前は確認しているが、ご本人が目立つことを遠慮したい様子だったので、新聞記事を通して子どもたちの感激を受け取ってほしい」と話した。