名護市辺野古の新基地建設で、玉城デニー知事は沖縄防衛局が地盤改良工事のために申請していた設計変更を不承認とした。

 県が承認しなければ大浦湾側の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事には着手できない。

 工事強行の瑕(か)疵(し)は明らかだ。

 不承認の理由として、知事は軟弱地盤が海面下90メートルまで広がっていると指摘される地点で必要な調査がされておらず「地盤の安定性が十分に検討されていない」と説明した。

 絶滅危惧種のジュゴンへの影響について「適切に情報収集がされていない」と環境保全上の問題点を指摘した。

 新基地完成まで不確実性があるとし「普天間飛行場の危険性の早期除去につながらず合理性がない」とも強調した。

 計画のずさんさを一つ一つ指摘し、政府の「辺野古ありき」の姿勢を批判したのである。

 民意を背負った知事として自治を貫く覚悟がにじみ出る会見だった。

 新基地建設を巡っては翁長雄志前知事が3年前、防衛局の工事は環境保全に配慮していないことや軟弱地盤などの問題が判明したとして、埋め立て承認を撤回すると表明した。

 県のトップが2度にわたり新基地建設を認めない意志を示した事実は極めて重い。

 岸田文雄首相は真(しん)摯(し)に受け止め、今度こそ県との協議を始めるべきだ。まずは全ての工事を止め、協議のテーブルに着いてもらいたい。

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 玉城知事は会見で、沖縄戦戦没者の遺骨が混じる土砂が埋め立てに使われる可能性がある点にも言及した。

 本島南部など変更申請で新たに盛り込まれた候補地からの採取は認められないとの認識を強く訴えた。「人道上、許されるはずはない」との指摘はもっともだ。

 そもそも日米両首脳が「普天間飛行場の5~7年以内の全面返還」に合意したのは25年も前だ。一向に進まないのはどういうことなのか。

 この間、普天間周辺の住民は危険にさらされ続けた。つい最近も住宅密集地にオスプレイから金属製の水筒が落下したばかりだ。

 仮に新基地ができて普天間飛行場が返還されたとしても沖縄に残る米軍専用施設の割合はほとんど変わらない。

 新基地計画は沖縄の負担軽減に資することが少ない半面、米軍の意向に沿った軍事上の必要性を優先した「基地再編恒久化」計画になっている。

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 「2022年度またはその後」へと先送りされた普天間飛行場の返還時期は、軟弱地盤が見つかったことで「早くても30年代半ば」へと大幅にずれ込んだ。

 どことどこを比べて辺野古に決めたのか明確な説明もなく政府は「辺野古が唯一の選択肢」と繰り返す。今回の不承認は、そのように思考停止する政府への異議申し立てでもある。

 いつまで沖縄の犠牲を前提にした安全保障政策を続けるつもりなのか。国会でも徹底的に議論すべきだ。