[ニュース断面]

与党県議(後方)へ不承認の方針を説明し、会派室を出る玉城デニー知事(手前)=25日、県議会

 沖縄県の玉城デニー知事は25日、名護市辺野古の新基地建設阻止へ、現時点で持ち得る最大のカードを切った。沖縄防衛局が提出していた埋め立て変更承認申請の不承認。会見で「工事は絶対に完成しない」と自信を見せたが、予想される法廷闘争などへの戦略は未知数だ。政府や県政与野党からはこのタイミングでの判断に、選挙などの政治的日程を巡る臆測が飛び交う。(政経部・大城大輔、又吉俊充、東京報道部・嘉良謙太朗)

■「事実上、無意味なものとなる」

 「事実上、無意味なものとなる可能性がある埋め立て工事をこれ以上継続することは許されない」。知事は、変更申請を不承認としたことを表明した記者会見でこう強調した。

 だが、政府は対抗措置を取り、知事から「承認」をもぎ取る構えだ。

 県幹部は「10月末に不承認とする日程感だったが、その時点では事務方の報告内容に疑問が拭えなかった」と明かす。法廷闘争を見据え慎重を期し、約1カ月遅らせた上で出した「切り札」だ。

 一方で、知事周辺からは「これまでの県の対抗手段も、国の強行にことごとくつぶされてきた。これで負ければ土俵際だ」と不安の声も漏れる。

 防衛省は、変更申請の審査に伴い県からの452問の質問に全て回答しており「争点は分かっている」(政府関係者)と冷静に受け止めた。行政不服審査法を用い、国土交通相に不承認の取り消しを求める審査請求などの対抗措置を取るとみられる。

 対抗措置の時期について同省幹部は「できるだけ早期に」との考えを示し、県との対決姿勢をにじませた。

■知事の姿勢を評価

 「県民にしっかり説明したいという知事の姿勢だ」。県政与党幹部は、25日に開会した県議会代表質問の通告期限(29日)前に決断した知事を評価した。

 県幹部も「不承認について県議らが質問する機会を奪われたというのは避けたかった」と解説。沖縄振興特別措置法延長の議論や年末の沖縄関係予算決定など、政府との対立による影響を回避したいものや、辺野古を抱える名護市で来年1月行われる市長選などの日程を意識したものではないと強調する。

 だが、政府の見方は冷ややかだ。ある政府関係者は「判断を延ばしに延ばした結果、来年度の沖縄関係予算編成に向けた重要な時期に来てしまったのだろう」とみる。不承認で、政府の「冷遇姿勢」が今後も顕著になる可能性を指摘し「冬型の気圧配置が強まるはずだ」と例えてみせた。

 自民県連幹部は「衆院選沖縄3区で辺野古を争点化できなかったことがオール沖縄の敗因だとしている以上、戦略的な意図が透けて見える」とし、名護市長選を意識した判断とみる。

 来秋には天王山の知事選も控える。名護市長選の結果は知事選にも影響する。県政与党幹部は「県民が待ち望んでいた不承認だ。選挙への大きな後押しになるだろう」と期待を寄せた。