「ぼくの母親はどこにいるの?」  東京拘置所の面会室でアクリル板の向こう側にいる小野寺(おのでら)が訊(き)いた。 「東京にいるよ」  小野寺の鋭い視線を受け止めながら省吾(しょうご)は答えた。  母親の恵子(けいこ)が小野寺と北海道で生活していた頃の彼女の知人から教えてもらった。