沖縄県内印刷関連の105社が加盟する県印刷工業組合(平山達也理事長)は30日、南風原町の事務所で会見し、コロナ禍による需要減少や資材価格の高騰などで厳しさを増す業界の窮状を訴えた。平山理事長は「各社とも企業努力で価格転嫁を抑えてきたが、これも限界が近づいている」と理解を求めた。価格転嫁はあくまで各社の判断だが、印刷用紙の値上げが予定されている1月以降に価格改定の動きが出てくる可能性がある。

印刷業界の厳しい経営環境を訴えた県印刷工業組合の平山達也理事長(前列左から2人目)=南風原町の同組合

 組合によると、コロナ禍でイベントや観光需要が激減し、昨年は倒産も1社あった。こうした中、世界的な景気回復などを背景に、印刷製版工程で使うCTPプレートやインキ、紙などを扱う国内メーカーが相次いで値上げを通知してきているという。

 CTPプレートの会社は、主原料のアルミ価格が高騰しているとして、12月11日以降の注文分から10・14%値上げするとしている。インキ会社は環境対応コストや物流コストの上昇などを理由に10月出荷分から1キロあたり最大で150円値上げしている。

 また、洗浄に使う溶剤を扱う会社は、原油価格高騰を理由に11月出荷分からの値上げを通知。価格は個別に相談しているという。さらに大手製紙会社も印刷用紙を1月出荷分から「15%以上」値上げするとしている。

 平山理事長によると、資材コストはトータルで15%ほど上昇する見込み。電気代などエネルギーコストの上昇や、最低賃金の改定も加えると「かなり厳しい状況」だ。

 島しょ県である沖縄は物流費もかさむ。業界には小規模事業者も多く、コスト削減が難しい事情もある。この日の会見を受け、12月から取引先に理解を求める動きが出てくるとみられる。

 平山理事長は「あくまで各社の判断だが、雇用を守るため、会社を守るためにはある程度の価格転嫁が必要になると思う」と語った。また、今後の展望について「コロナ禍でデジタル化が加速しているが、紙の魅力、県産品の良さも発信していきたい」とも話した。