+50歳の島で 世替わり、あれから

50年前のきょう誕生した糸満市 復帰直前に町から市へ「滑り込み移行」実現した立役者

2021年12月1日 08:09有料

[+50歳の島で 世替わり、あれから]

 糸満市の誕生から1日で50年になる。日本復帰を翌年に控えたタイミングでの、糸満町から糸満市への“滑り込み”移行だった。1971年12月1日の沖縄タイムスをめくると「十番目の『市』誕生」の見出しで、糸満ロータリーでの前夜祭パレードの写真が掲載されている。(編集委員・福元大輔)

 糸満町は1961年10月1日、旧糸満町と兼城、高嶺、三和の3村が米軍施政権下で初の町村合併でスタートした。合併によって那覇、コザ両市に次ぐ3番目に大きな町となり「南部地区の一大産業都市」を目指した。一方、旧糸満町役場だった本庁舎は手狭で、建設課などは琉米文化会館、経済課は消防本部2階、教育委員会は民家を間借りしていた。

 71年11月に完成した新庁舎は、糸満町が単独事業で埋め立てた土地に建設された。柱は糸満の象徴であるハーレー舟をこぐカイをデザイン。新聞で「デラックス庁舎」と紹介され、間借りせずに仕事できるようになった。

 市になると、独自に福祉事務所を置いたり、交付税の算定基準が変わったりといったメリットがある。当時総務課職員だった元市総務部長の城島栄さん(71)は「町から市になったことで一番大きかったのはイメージアップ効果。その後の若者の定住や企業の進出につながった」と語る。

 なぜ、復帰直前のタイミングで市への移行を急いだのか。町施行10周年と新庁舎完成が表向きの理由とされているが、別にあった。

 71年の糸満町の人口は3万6千人。市施行の要件の一つ「人口」について、日本の地方自治法8条は「5万人以上」、琉球政府の市町村自治法5条は「3万人以上」と規定していた。復帰した後では人口5万人以上に達するまで市に昇格できず、大幅に遅れる可能性が高かった。琉球政府時代に“滑り込み”で移行する必要があったのだ。...

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