6月にうるま市の米軍施設から有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含む汚水が流出した事故で、汚水のPFAS含有量が国指針の1600倍もの濃度だったことが明らかになった。桁違いどころか異常な高濃度である。

 施設から続く排水溝は、住宅や畑のある集落内の水路へとつながり、天願川へ流れ込む。

 夏に川で遊んだ子どもは大丈夫なのか。畑の作物に影響はないのか。健康に関わる問題だけに、言葉では言い表せない不安が渦巻く。

 陸軍貯油施設から最大2400リットルの消火汚水が漏れ出す事故が起きたのは6月10日。だが米軍が県やうるま市に連絡したのは1日以上がたってからだった。

 当時、米軍は事故は泡消火剤を薄める水が入った貯水槽が大雨であふれたことが原因と説明していた。貯水槽に配管から逆流した泡消火剤溶液が一部混ざり込んでいたという。ただ流出したのは大部分は雨水で「安全性に問題はない」としていた。

 発がん性などの健康リスクが指摘される有害物質である。自然界では分解されにくく体内に蓄積されやすいことから「永遠の化学物質」とも呼ばれるものだ。

 何を根拠に、どのような数値をもって安全と言い切れるのか。

 これだけ高濃度のPFASが検出されたということは、雨水が漏れ出たという説明では納得できない。

 ずさんな扱いは間違いないが、米軍にはどれだけの量をどこに、どう保管しているのか詳細に説明してもらいたい。

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 貯水槽からのサンプル採水は事故から18日後。日米地位協定の環境補足協定に基づき県と国、米軍の3者で実施された。

 1600倍という衝撃的な数値は関係者への取材で分かったもので、正式発表ではない。3者で公表する仕組みとなっているため、米軍が難色を示しているからだという。

 なぜ半年も経過しているのに公表しないのか。「不都合な真実」だから隠そうとしているのか。強い疑念を抱く。

 日米の基地を巡る合意は、同様に米側が「ノー」と言えば進まない仕組みのものが多い。

 住民の生活環境を守るため日米で合意した騒音防止協定もそうだ。米軍が「運用上必要だった」と言えば、深夜の飛行も合意違反にならない。

 常に米側の都合が優先され、日本政府はその顔色ばかりをうかがっている。

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 漏出事故への対応などを定めた環境補足協定は、2015年、岸田文雄首相が外相の時に署名、発効した。

 政府は地位協定の実質的な改定に当たると自画自賛したが、抜け穴だらけであることは当時から指摘されていた。

 今回も速やかな通報と立ち入り調査の実施、情報の開示は全く不十分。信頼性そのものが担保できていない。

 責任は基地を使用する米軍、基地を提供する日本政府の双方にある。

 穴だらけの協定を改めるべきだ。