新型コロナウイルスの第6波に備えようと、重症者の治療に必要な人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)の操作について学ぶ医療従事者向けの研修会が4、5の両日、沖縄市の県中部合同庁舎で開かれた。2日間で延べ計19医療機関から医師や看護師、臨床工学技士ら約240人が参加。実践的なグループワークもあり、参加者は「バイタルサイン(血圧などの数値)は大丈夫ですか」「エクモの電源が落ちました」などと本番さながらの訓練をしていた。沖縄県が日本ECMOネットの協力を得て主催した。
コロナの重症患者は肺炎による重度の呼吸不全を起こすため、人工呼吸器で酸素を送る。さらに悪化した場合は、エクモを使って血液をいったん体外に取り出し、酸素と二酸化炭素の交換をする。特にエクモは患者の体への負担が大きく、医療者側は高い技術やチームワークが求められるという。
2日目のグループワークは、エクモを装着した患者を精密検査のため別の階に移動させるとの想定。廊下に障害物があったり、途中でエクモの電源が落ちたりといったトラブルも盛り込まれた。
患者は体にさまざまな医療機器やカニューレ(管)を付けており、移動には細心の注意が必要。参加者は「数値が落ちてます」「手動電源に切り替えて」などと緊迫したやりとりを交わしていた。
参加した浦添総合病院の中泉貴之医師は「いざという時のイメージトレーニングができた。日常の医療にも生かしたい」と充実した様子。インストラクターを務めた同病院の那須道高医師は「第5波では多数の重症患者が発生した。エクモや人工呼吸器を扱える医療従事者の裾野を広げたい」と話した。