駆け出しのころ、ある警察官に言われた言葉が忘れられない。「女を武器に情報とるんだろ」。あり得ない話に反論したが、怒りは収まらなかった。侮蔑的な発言にもかかわらず、耳を貸さない姿に壁も感じた
▼女性に限ったことではないだろうが、働く上で感じる差別的な言動は少なくない。毅然とした態度で対応すればいいが、疲れることも多々ある
▼そんな疲れを忘れさせてくれるメッセージがある。朝日新聞が8日の国際女性デーにちなんで掲載している企画。タレントや政治家、漫画家、女優など幅広い分野で活躍する女性の生き方をつづる
▼「女性はこうあるべきだという固定観念がリセットされて、『自分』として生きることの心地よさが生まれた」。プロテニス選手の伊達公子さんは元夫に気づかされたという。何かを究めるにはやり続けること、そこから見えるものがたくさんあると語る
▼漫画家の西原理恵子さんは「20歳から40歳までにいかにキャリアを磨いて自分の資産価値を高められるか」と説く。相手に頼らず、自分で稼ぐことを勧め「すしと指輪は自分で買おう」と
▼メッセージに共通するのは、「自分自身」を持つこと。何をしたいのか、やりたいことや好きなことを探求すること。自分に素直に-。偏見や逆境を体験した生きざまは、働く毎日を後押ししてくれる。(赤嶺由紀子)