社説

社説[県道70号情報公開訴訟]国会で非開示の検証を

2017年3月8日 08:25

 「県道の使用条件がなぜ非公開なのか。まったく理解できない」という感想は、まっとうな市民感覚といえる。だが、米軍事案に関しては、それが通用しない。

 主権者の「知る権利」は軽んじられ、住民生活に深く関わる合意事項であってもその中身を知ることができない。

 米軍北部訓練場を通る県道70号の共同使用をめぐる情報公開訴訟の判決が7日、那覇地裁であった。日米両政府の了解がないのに、県が共同使用に関する協定書などの公開を決めたのは違法、だとして県の開示決定を取り消す判断を示した。

 情報公開条例に基づく住民の公文書開示請求に対し県は2015年2月、公開することを決めた。国側は開示しないよう求める意見書を事前に県に提出していた。

 開示決定後、国は直ちに執行停止を申し立てるとともに、開示決定の取り消しを求め提訴した。

 判決で浮き彫りになったのは、知る権利の実現を阻む「二重の壁」である。日米合同委員会の議事録などは「日米双方の合意がない限り公表されない」とされている。これが「第1の壁」だ。

 今回の請求文書について米軍の意向を確認したところ、「公表に同意しない」との回答があったという。判決は「一方的に公表すれば、その後の米国政府との交渉に支障をきたすのは明らか」だと指摘している。

 情報公開法にも外交・安全保障などに関し、不開示を認める例外規定がある。これが「第2の壁」である。

■    ■

 県は共同使用の協定書などを公表しても「国の事務に支障が生じるとは考えられない」と主張し、文書の中身に照らして判断するよう求めた。

 開示不開示の判断を日米の裁量にまかせると、「いかなる文書も開示できず、情報公開法の意義が損なわれる」からだ。

 日米のどちらかが「都合が悪い」と判断すれば、内容のいかんに関わらず、不開示となる。それが実態だ。

 地位協定の中に「日米双方の合意がなければ公表されない」という条文があるわけではない。日米合同委員会で取り決めただけの話である。なのに政府は、不開示の根拠となるその議事録さえ表に出そうとしない。

 国民の「知る権利」が保障されなければ、行政をチェックする有力な手段が失われ、民主主義はよりよく機能しない。非開示の必要のないものまで非開示扱いになってはいないか。国会の場での検証が必要だ。

■    ■

 第3次嘉手納爆音訴訟で那覇地裁沖縄支部は「違法な被害が漫然と放置されている」と指摘し、約302億円の賠償を国に命じた。

 しかし、夜間・早朝の飛行差し止めについては「日本政府に米軍の行動を制約する権限はない」として請求を退けた。

 今回の情報公開訴訟と嘉手納爆音訴訟に共通するのは、米軍絡みの訴訟にみられる司法の限界である。沖縄では「国民主権」はかっこ付きで語るしかない。

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