[「防人」の肖像 自衛隊沖縄移駐50年](30)第2部 浸透の境界線 国境の与那国(下)

 国境の島・与那国町を守るのは2丁の拳銃だけ-。二つの駐在所がある町で言われていた。「丸腰のようなもの。だから自衛隊を誘致した」と話す人たちがいた。

 誘致に反対した町議、田里千代基さん(64)の解釈は異なる。2005年に町長の任期半ばで亡くなった尾辻吉兼さんが口にし、111キロ先の台湾との間に貨物、旅客船を自由に往来させる国境交流特区構想につなげたと見る。「先々、近隣諸国が利益を分かち合う拠点になれば、損なうことは得策でなくなる。島おこしと安全保障を両立する自助の発想だった」と振り返る。

 特区申請は05、06年の2度、国から却下された。当時は町職員だった田里さんも、町が台湾に置いた事務所長などとして中国まで人脈を広げ、活路を探り続けた一人だ。

 戦後の復興期に密貿易で栄え、人口6千人を超えた島の試みは、07年に転機を迎えたという。町の反対を押し切って米軍掃海艦2隻が入港した。

 「町の自立を目指した『開港』は駄目で、...