大人に代わって日常的に家事や家族の世話を担う子ども「ヤングケアラー」の足元の一端が明らかになった。

 糸満市が県内で初めて児童生徒を対象に行った実態調査で、「家族を世話している」と答えた小中学生の割合が、7人に1人に当たる14・3%に上った。

 国が4月に公表した調査では中学生が5・7%、高校生が4・1%だった。市の調査は全国の2倍を超える高い割合で、深刻な状況である。

 ヤングケアラーの問題点は、家のことに時間を取られ、子どもが子どもらしい生活を送れないことだ。勉強の時間が十分取れず学業や進学に影響したり、遊びの時間が取れず同世代の中で孤立したりすることがある。重い責任を担い、ストレスを抱えてしまう場合も少なくない。

 苦しんでいる子どもがいても、家庭内の問題として隠れ、外からは見えにくい。実態を知る手がかりとして、今回の調査の意義は大きい。

 重要なのは調査をこれからどう支援につなげるかだ。教育、福祉分野が連携するなど、行政が横断的に支援体制を構築する必要がある。

 調査では、家族の世話をする児童生徒のうち、悩みを相談したことが「ない」と答えた子が84・1%と大多数を占めた。

 「親を悪者にしたくない」「同情されたくない」「家族だから当たり前」などさまざまな理由で、困っていても声を上げられないのかもしれない。誰に訴えていいのか分からないことも考えられる。

 待つのではなく、SOSを出せない子どもに積極的に手を伸ばす、アウトリーチ型の支援が求められる。

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 ヤングケアラーの問題は、「子どもの貧困」と切り離せない。

 県の子どもの貧困率は25%で、全国13・5%の約2倍。他府県より深刻な状況であることが共通する。

 例えば、経済的に困窮していれば、自己負担を伴う介護などのサービスを使えないだろう。

 県の母子世帯の出現率は全国平均の約2倍。ひとり親の場合、仕事する親の代わりに、家事やきょうだいの世話をする頻度は必然的に高くなるだろう。

 子どもの貧困問題は、国や県の調査で割合が明らかになることによって、深刻さが社会で共有され、官民の支援が広がっていった。

 ヤングケアラーも同様に、認識を共有することが課題解決の第一歩となる。

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 ヤングケラーという言葉自体、まだ浸透しているとはいえない。

 市は今回、意味を理解した上で回答してもらおうと、ケアラーの具体例をイラストで示した資料を学校に送付するなど、周知にも努めた。

 「私はヤングケアラーなんだ」と分かれば、支援につながりやすい。

 県は11月から教師向けの実態調査を始め、来年度は児童生徒を対象にした調査を行う。苦しんでいる幼い介護者たちを一人も取り残さないよう、丁寧な調査を行ってほしい。