沖縄社会の深刻な問題である「子どもの貧困」に対応するため欠かせない事業だ。

 2022年度の沖縄関係予算案で「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」に15億6千万円が計上された。本年度当初予算に比べ1億円増加した。

 沖縄関係予算全体では本年度当初から11%の減となっている。コロナ禍からの再生を図らなければならない時期の大幅減は残念だが、その中で貧困対策事業費を増額したのは政府も必要かつ重要な予算だと認識したからだろう。

 内閣府は現行の沖縄振興計画で16年度から21年度までを子どもの貧困の「集中対策期間」に位置付け事業に取り組んできた。

 県によると、子どもたちが食事の提供や学習支援などを受け安心して過ごせる「子ども食堂」や「子どもの居場所」は10月時点で241カ所ある。

 小学校区ごとの充足率は全国トップに達している。このうち6割が内閣府の緊急対策事業を活用したものだった。

 子ども食堂や居場所は、栄養バランスの取れた食事や健全な育ちの環境を提供するだけでなく、子どもやその親が孤立するのを防ぎ、地域で支えるセーフティーネットの役割を果たしている。

 中には不登校や非行傾向のある子どもに自己肯定感を高めてもらうプログラムを用意するなど、より手厚い支援を実施している居場所もある。

 地域の状況に合わせて息の長い活動ができるよう、支援員の配置などを通してさらに強く後押ししてもらいたい。

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 22年度の子どもの貧困対策の新規メニューには、教育の質の向上に向けたAI教材の導入も盛り込まれた。取り組みの遅れている市町村を優先し学校で活用を図るという。

 コロナ禍で休校が繰り返されたことで、塾に通える家庭と、その余裕のない家庭とで学力の差が生じている、との指摘もある。教材を教育格差の解消に生かしてほしい。

 政府が最近公表した子どもの貧困に関する初の実態調査の結果は、貧困世帯の4割近く、ひとり親世帯では3割が食料を買えない経験が過去1年であった、というものだ。

 沖縄の子の貧困率は全国の約2倍だ。6年前の県の同様の調査では、貧困層の保護者の約5割が過去1年間に食料に困窮した経験が「あった」と回答し、さらに深刻だった。

 長引くコロナ禍の影響は非正規で働く人やひとり親世帯に大きく及んでいる。生活状況がさらに苦しくなっている可能性があり心配だ。

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 県がまとめた新たな振興計画の素案は、困難な状況に直面する子どもを確実に支援し「貧困の世代間連鎖の克服と解消を含め、子どもの貧困を生み出さない社会経済構造の構築を図ることが中長期の取り組みを要する政策課題」と記している。

 現振計からは一歩前進だが子どもの貧困問題を次期振計の主要課題に明確に位置付けるべきだ。

 必要な人に必要な支援を迅速に届ける公的支援の充実へアクセルを強く踏み込んでもらいたい。