職場や地域で、行動を変える「仕掛け」が必要だ。

 厚生労働省が「健康寿命」を公表した。健康寿命は介護を受けたり、寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す。

 3年ごとに発表され、2019年は男性72・68歳、女性75・38歳で、前回16年から男性は0・54歳、女性は0・59歳延びた。

 都道府県別で沖縄県は男性が72・11歳、女性は75・51歳だった。健康寿命自体は延びたものの、延び幅が小さく、前回に比べ、男性は全国26位から40位、女性は10位から25位に順位を大きく下げた。

 「長寿の島」として世界的に知られてきた沖縄だが、平均寿命とともに退潮傾向だ。 今回躍進したのが大分県だ。男性は前回の36位から初の1位に、女性も12位から4位に大きく順位を上げた。「健康寿命日本一」を目標に掲げ、官民一体となった取り組みを進めており、それが功を奏した形だ。

 広瀬勝貞知事はテレビの取材に、高齢者が参加するスポーツなどの交流の場が増えたことや、企業が社員の健康づくりに力を入れたことが結果につながったと語った。

 沖縄県も2014年に「40年までに男女とも平均寿命日本一達成」の目標を掲げ、「健康長寿おきなわ復活県民会議」を発足させ、官民で取り組んでいる。

 だが県民の行動を変えるところまでいっていないということだろう。これまでの取り組みを検証する必要がある。

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 沖縄の課題は何か。赤信号がともるのが働き盛り世代の健康状態だ。

 沖縄は65歳未満で亡くなる人の割合が高い。生活習慣病の合併症による死亡が目立つ。

 事業所の健康診断で何らかの異常が見つかった人の割合「有所見率」が69・5%(2020年)。10年連続で全国ワーストだ。

 異常が多かったのは血中脂質、血圧、肝機能など、生活習慣に関わる項目だ。沖縄労働局は、食生活の偏りや車社会による運動不足などが要因とみる。

 重症化してから医療機関を受診し、即入院となるケースも県内の特徴だ。

 近年、従業員の健康づくりを、生産性を高める投資の一つとする「健康経営」の考えが広がっている。

 職場をプラットホーム(足場)とした取り組みは有効だ。人的、資金的に余裕のない零細企業が取り組めるよう行政が支援する必要がある。

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 今回の調査は新型コロナウイルス流行前に行われたものだ。懸念されるのは、感染による直接的な影響のほか、長期間の自粛生活が及ぼす影響である。

 コロナの感染拡大により、ミニデイやゲートボールはじめ、地域の行事や触れ合いの機会が減っている。

 人とのつながりは心身の健康に密接に関わる。社会参加の機会が多い自治体ほど、健康寿命が長いという調査結果もある。地域のつながりを結び直すことも必要になる。

 アフターコロナを見据えた環境づくりが求められる。