生後2カ月から養育している女児(5)の里親委託を児童相談所が一方的に解除し引き渡しを求めることは女児の心の平穏や健全な成長を妨げ、子どもの福祉を無視した不当な対応だとして、那覇市に住む里親の50代夫妻が29日、県を相手に来年1月4日に迫る引き渡しの差し止めを求める訴訟を那覇地裁に起こした。代理人弁護士によると同様の訴訟は前例が無いという。

(資料写真)那覇地方裁判所

 里親側代理人の川津知大弁護士は29日の会見で、実親への引き渡しや女児に実の親ではないと真実告知することを「否定するわけではない」と強調。女児に発達障がいがあると診断した医師の「症状が悪化するような環境の変化を現在すべきでない」との意見を踏まえるべきだとし、「何が児童のためになるかしっかり考えてほしい」と述べた。

 訴状によると女児は2016年から夫妻と生活。実母は県外在住で、18年末から女児との面会や引き渡しを求めていた。児相は実母が19年に再婚し経済的・生活的に安定したとして調整を夫妻に要求。実母の意向を踏まえ、里親委託措置を解除し一時保護所に入所させると12月に通告した。

 一方、夫妻側は複数の医師の意見を受け、面会や真実告知のタイミングを慎重に検討するよう求めていた。川津弁護士は、実母が今年離婚し生活的に不安定などとし、「児童の心の平穏を考えれば、一時保護の委託先を里親にもできる」と指摘。児相の対応は「児童福祉法の趣旨・目的に反し、裁量権の逸脱濫用の違法がある」としている。

 夫妻は28日に里親委託の解除差し止めを求める訴訟も那覇地裁に提起したが、福渡裕貴裁判長は同日、訴訟対象に当たらず原告適格もないとして訴えを却下。提訴当日に裁判所が判決を下すのは異例で、差し止めを求める仮処分も即日却下された。里親側は近く控訴し、仮処分についても抗告する。