新型コロナウイルスの影響を引きずりながら、年が明けた。

 今年は戦後27年間におよぶ米軍統治に終止符を打ち、施政権が返還されてから、50年の節目となる。

 沖縄は今、さまざまな分野で大きな転換期を迎えている。

 「産し繁盛」(ナシハンジョウ)という言葉が使われるように、沖縄は出生率全国一の子宝の島だ。高い出生率は地域の活力となり、強みとなってきた。

 復帰後、増加を続けてきた県人口が、2030年ごろをピークに減少に転じると予想されている。人口減は同時に、高齢者世帯の大幅増という社会構造の転換をもたらす。

 戦後世代が人口の9割に近づき、復帰後生まれが多数派となる中、沖縄戦や米軍統治時代の記憶の継承も大きな曲がり角に差し掛かっている。

 若い世代ほど米軍基地を容認する傾向にあるなど、世代間の意識のズレが目立つようになってきた。

 高度成長期を知らず、新自由主義経済下で自己責任論が強調される時代に育ったこの世代の、意識や考え方を無視して沖縄のこれからの政治を語ることはできない。

 復帰後最大の落ち込みとなった経済も大きな岐路に立つ。

 2年前まで天井知らずの勢いで伸びてきた観光業は、コロナ禍でこれ以上ないほどの打撃を被った。観光再生は急務である。

 さらに22年度は新たな沖縄振興計画がスタートする年である。振興体制の理念の変質が指摘されている時だけに、原点を再確認し、未来を開く確かな方向性を示さなければならない。

 政治的には重要な選挙が集中する「選挙イヤー」だ。名護市長選や宜野湾市長選、秋には天王山の知事選が控えている。

 米軍普天間飛行場の返還を巡って、県民は四半世紀もの間、国策に翻弄(ほんろう)されてきた。問われなければならないのは負担軽減の内実であり、一日も早い危険性の除去である。

 米中対立の激化により台湾有事に連動した沖縄の戦場化が語られるようになったことも見過ごせない。沖縄の米軍基地が中国のミサイルの標的になるのは戦後初めてのことだ。

 これらの問題にどう対応するかが、沖縄の将来を決定付けることになるだろう。

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 一方で復帰以来、抱えてきた厳しい現実がある。貧困という負の連鎖の克服は沖縄にとって最優先すべき課題だ。

 1人当たり県民所得は全国最下位が続く。賃金水準の低い非正規雇用率は全国一。子どもたちの高校進学率、大学進学率は最下位である。

 数年前、県の調査で可視化された子どもの貧困率は、全国の倍近くに上る。「子どもの危機」が映し出したのは、最も弱い立場にある人に最も大きなしわ寄せが及ぶという社会の脆弱(ぜいじゃく)性だった。

 コロナ禍による困窮化も深刻化している。

 貧困の連鎖を克服するために何よりも重要なのは自立型経済の構築だ。

 県振興審議会は新振計の最終年度の31年度に、1人当たり県民所得を291万円とする展望値を固めた。コロナ禍で214万円まで落ち込んだ所得をどのように引き上げていくのか。

 人を育て、生産性を向上させ、企業の「稼ぐ力」につなげる、総合的な戦略が必要となる。

 沖縄の若い人たちが自分らしさを発揮して、夢が持てる環境をつくり出していくこと、それがひいては沖縄社会全体を押し上げる力になる。

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 かつてない困難の中にあって、沖縄社会を支えたのは、食料配布や生活支援などボランティア団体や個人による草の根の取り組みだった。

 人々の郷土愛や利他心に根差した「思いやりの心」「ユイマール精神」が、実は地域を下から支える大きな力となっていたことを改めて実感した。

 負の連鎖の克服と、自立型経済の構築、沖縄を二度と戦場にさせないという新たな平和運動-。今年はこの三つの分野で、具体的な成果を挙げていく跳躍の年にしたい。