年末年始の那覇空港は、沖縄で新年を迎える帰省客や観光客らで混雑した。国際通りも土産品を買い求める家族連れや若者らの姿が見られた。

 コロナ禍で大きな打撃を受けた沖縄観光が徐々に回復しつつある。

 といっても国際通りは今もシャッターを下ろした店舗が目立つ。那覇空港も国際線側は、ひっそりとしたままだ。

 県の試算では2021年度の入域観光客数は前年度比51%増の約391万人になる見通しだ。増えたとはいえコロナ前の19年度実績と比較すると6割近い落ち込みである。

 しかも昨年末から国内で急拡大している新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の影響で、先行きが見通しづらくなっている。

 専門家による今年の県経済予測は、感染状況が落ち着いていることを前提に観光業は回復が進むとの見方が強い。

 自粛生活が繰り返された反動もあり、国内の旅行需要は高まっている。その需要を沖縄にどう呼び込むか戦略が欠かせない。

 「ウィズコロナ」時代の旅は「少人数で近場」が主流となる一方、密を避けて自然を満喫できる旅も人気という。リゾート地などで休みを取りつつ仕事をする「ワーケーション」も関心を集めている。

 全国の観光地が誘客に力を入れている中で沖縄の強みをどう生かすか、さらに知恵を絞る必要がある。

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 振り返れば、沖縄観光の始まりは戦後の慰霊訪問団の受け入れだった。

 1972年の復帰や75年の海洋博覧会を機に観光地として注目される。その後、リゾート地として発展し、90年代後半には航空運賃の自由化や旅行商品の低価格化が観光客の伸びを後押しした。

 コロナ禍前は海外とを結ぶ航空路線が充実。大型クルーズ船の寄港も日常的になり、外国人客が大きく伸びた。

 復帰の年に56万人だった観光客数は2018年度に1千万人の大台を達成した。

 ただ、全てが順調だったわけではない。

 01年の米中枢同時テロの際は、米軍基地の集中する沖縄は危ないとされ、修学旅行が軒並みキャンセルになるなど打撃を受けた。

 この時にも外部要因に左右されやすい観光業の「脆(ぜい)弱(じゃく)性」が指摘された。今、再び直面する危機をどのように乗り越えるかが問われている。

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 観光業は宿泊や飲食、運輸、農業など裾野が広く県経済の柱である。再生は急務だ。

 沖縄観光はかねて「量から質への転換」が課題とされており、県は22年度からの第6次県観光振興基本計画素案でその実現を目指している。 

 「質」をどう確保するかはもちろん重要だ。同時に観光業で働く人たちの待遇の向上も欠かせない。コロナ後を見据えて外資系ホテルの建設や開業が相次ぎ競争が激化する中、沖縄にお金が落ちる仕組みをどうつくるかも課題だ。

 単なる「再生」ではなく「成熟」の10年とすべきである。