【福島県で阿部岳】沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(67)は2日、東京電力福島第1原発がある福島県大熊町で、東日本大震災の津波で亡くなった木村汐凪(ゆうな)さん=当時(7)=とみられる遺骨を見つけた。一緒に捜索した父の紀夫さん(56)が地中から掘り出し、約11年ぶりに再会した次女の骨を何度もなでた。
紀夫さんやボランティアが捜索を重ねてきたが、首や顎の小さな骨が約5年前に見つかったきりだった。
具志堅さんが協力を申し出て現場を訪問。周辺を探し始めてすぐ、長さ約25センチの右の大腿(だいたい)骨を見つけた。発見場所や骨の若さから汐凪さんのものとみられる。
震える手で地中から骨を取り上げた木村さんは「なんと言えばいいのか」と目を潤ませた。「骨を取り残してしまい、親の務めを果たせなかった」と悔やむ一方、遺骨収容の道筋が見えて明るい表情も浮かべた。
具志堅さんは「こんなにすぐ見つかったのは、お父さんと娘さんが呼び合ったから。奇跡だ」と語った。国や自治体には「遺骨収集を強化すべきだ。犠牲者には家族の元に帰る権利がある」と求めた。
現場は原発から約3キロの距離で、立ち入りが制限されている区域。震災直後も原発事故による避難のため捜索できず、紀夫さんは「事故さえなければ助けられたかもしれない」と考え続けている。
父と妻も亡くし、次女の汐凪さんの遺体だけが見つかっていなかった。