年明け早々、沖縄県内で新型コロナウイルスが猛烈な勢いで再拡大している。新変異株「オミクロン株」への置き換わりを背景に、元日に52人だった新規感染者数は、わずか3日後の4日には225人に4倍増。玉城デニー知事は会見で「広がり方が尋常じゃない」と、最大限の表現で警戒を呼び掛けた。3週間後には病院側の対応能力を超える病床数が必要になるとの推計も示され、「医療危機」の再来が現実味を帯び始めている。
■オミクロン株へ置き換わり
「もはや『第6波』に突入した」「驚異的なスピード」。玉城知事は4日の会見で、硬い表情のまま繰り返し訴えた。
オミクロン株はデルタ株よりもさらに感染力が強く、感染者数は2~3日で2倍になるとされる。同日はこれまでで最多の47人がオミクロン株に感染していることが判明。県内では多くの地域でオミクロン株への置き換わりが進んでいるとみられ、直近1週間の新規感染者数は前週比で3・9倍、前々週比で17・5倍と爆発的に増えた。
病床不足も目の前に迫る。
現段階で各病院がコロナ患者用に確保している病床は計286床。既に5割近い129床が埋まっている。地域によっても偏りがあり、デルタ株とオミクロン株が同時に流行しているとみられている北部地域では、残り5床ほどしかないという。
■入院待機施設の開設も予定
病床数は感染状況によって段階的に増やすことになっており、県は一般医療と両立できるぎりぎりの病床数を648床と見込む。それでも足りない場合は一般医療の制限と引き換えに、917床まで増やす方針だ。
しかし、政府の算定式を用いた推計では、3週間後に必要な病床数は940床。病院側が確保できる上限を超えており、県は今月から来月にかけて、本島南部と那覇市に相次いで入院待機施設を開設する予定だ。
症状の重い患者が入院できない事態を避けるため、県は国と相談し、入院や療養の基準も既に柔軟化している。これまでオミクロン株の患者は全員入院させていたが、無症状や軽症者はホテル療養も可能に。ホテル療養だった濃厚接触者も、自宅での健康観察ができるように改めた。
さらに、退院には検査で2回陰性になることが必要とされている現在の運用についても、緩和が可能かどうか5日の専門家会議に諮る方針だ。