新春 TOP INTERVIEW 2022

 沖縄経済の第一線で活躍する企業・団体の経営者に、新たな年を迎えるにあたっての抱負や展望、変化の激しい時代を見据えた今後の事業展開、地域貢献への思いなどをうかがいました。

琉球セメント社長 喜久里忍氏

 -2021年を振り返って。

 2020年に続き、国難といえるコロナ禍の影響を受けた1年でした。感染拡大による経済活動の低迷で、民間設備の投資意欲が冷え込み、セメント需要が低迷しました。建設現場では人手不足に伴い人件費や資材が高騰しています。セメントの生産過程で欠かせない石炭の異常な価格高騰に加え、製造設備の老朽化による維持更新費や、物流費、環境対策に取り組むための費用の上昇が重なり、主力のセメント事業は過去にない厳しい年となりました。生産の効率化や各種コストの削減に努めていますが、自社での吸収には限界があり、経営的にはしばらく厳しい環境が続くものと想定しています。

 -リサイクル事業の現状は。

 セメントはインフラ構造物の構築に必要不可欠な基礎資材です。セメント供給の役割を人体で例えると、細胞に養分を届ける動脈と言えます。一方で人体の老廃物を回収する静脈の役割も担っています。例えば火力発電所から発生する石炭灰、市町村が回収した家庭ごみの焼却灰は、セメントの原料となる粘土の代替物として受け入れております。実は日本の全産業から排出される廃棄物の約1割をセメント産業が受け入れており、セメント産業は循環型社会の構築になくてはならない究極のリサイクル工場の役割も担っているのです。県内では今後、米軍基地の返還に伴う汚染土壌の発生が懸念されますが、当社はその処理免許を取得しており受け入れが可能です。これまで本土に輸送して処理していたような廃棄物を極力、県内で処理できるよう、その一翼を担っていきたいと思います。

 -同事業の目指す方向性とは。

 現在セメント1トン当たり約300キロの廃棄物を再資源化しております。今後は木くずとペットボトルといった燃料系の廃棄物の使用を高めていきます。ペットボトル等は以前、中国や東南アジアに輸出されていましたが、今は各国の環境規制で難しくなっています。国内での利用を高める必要があり、当社は新たな処理設備の導入を計画しています。

 -社会貢献と、今後の施策について。

 社会貢献活動は、県国際交流・人材育成財団への寄付や、工場のある名護市安和地区の学生へ給付型の奨学金を設けるなど人材育成のほか、地域の伝統行事や祭りにも積極的に参加しています。また県内の青少年のスポーツ振興にも協力し、ビーチクリーンなどの環境保護活動も行っています。今後の施策としては、セメント産業においても、CO2排出抑制問題は避けて通れない課題となっており、大きな変換期を迎えます。当社も製造工程で排出されるCO2を回収、利用する方法の研究を行い、スピード感を持ち取り組んでいきます。コロナ禍にあり、県内経済は見通しが立てづらい中ではありますが、経営理念である「郷土の資源で郷土をつくる」をもとに当社の特性を生かした事業展開を進め、これまで描いてきた「未来予想図」を「実現」する一年にしていきたいと思います。

 きくざと・しのぶ 1958年那覇市生まれ。明治大学卒業後、84年に琉球セメント入社。取締役営業部長、常務取締役などを歴任。2020年6月から現職。


人柄に迫る3つのパーソナルクエスチョン

  1. 座右の銘や好きな言葉:一念天に通ず
  2. いま夢中になっていること:インドアグリーン(屋内緑化)
  3. 休日の過ごし方:ビーチ沿いのウォーキング